第16話 小さな嘘
少し遅い14時に、私の足元に、魔方陣が現れる。
【パッシブ】・弟感知
【肉体条項】・弟近接時、ステータス +5倍
00:13:59
「お昼、持ってきたよー。随分、遅かったね?」
「うん。いっぱい写真撮ってた!全部撮ったよ!」へへへ
「そうなの?フイルム入れ替えるね。ドッタ君。荷物の中の食事お願い。」
「カップラーメンは、ねーのか?」
「だから、非常食!食べる気満々じゃない!」
「いや、ちげーよ。・・・き、気になっただけだよ!」
しょうがない子ね。
「あとで、ママが買いに行くわよ。」
「ルルちゃん。いろいろと薬も持ってきたから、使えるようなら使ってね。」
「うん。傷薬が必要なの。もう、ないの。また、ほしいの。」
「そうなんだ?夕方には持ってくるね。」
何でだろう?まだ、怪我が治ってなかったのかな?
「ちよねー。ママにお手紙書いたの。渡して!」
お絵かき用紙に一生懸命描かれたみんなの絵が、とってもかわいい。
「うん。わかった。またねー!みんなも、ひろをよろしくね!」
居間で、買い物の支度をしている母に、弟の手紙を渡す。
「はい。ひろからのお手紙!」
「まぁ!嬉しい!おかーさんも、ひろちゃんに手紙を書かなきゃ!」
「そうね。それとフイルム。あと、買い物でお願いがいくつかあるの。」
野生動物に襲われ非常食が食べられてしまったので、カップラーメンがほしい事と傷薬がほしい事を伝える。
その日は、食事の運搬以外の呼び出しはなく、母が買い物のついでに写真屋で預けたフイルムの現像写真を、父が帰宅帰りに受け取ってきた。
「よーし。だすぞ。ほれ。おっと、1枚目は俺の写真か。」
2枚目は、洞窟で撮った弟と仲間たちの写真。
「この子が
久しぶりの弟の写真をみて、母がウルッとしている。
3、4枚目は、みんなの食事風景。
5枚目は、絶景だった。
ふたつの太陽。緑、茶、青の月。眼下に広がる広大な森。遠くに見える真っ白な連なる山。遠くの空には、ドラゴンのような生き物が飛んでいる。
「「「…。」」」
「すごいな。これが、異世界か。」
6枚目から、異世界の現実を知ることになる。
鋭い牙をむき出しにした虎のような大きな獣と武器を構え威嚇するドッタ君たち。
7枚目、追いかけてくるゴブリンの群れに、燃料から作った火を投げつけるルルちゃん。
8枚目、ドッタ君の倍くらいありそうなカマキリ。
9枚目、倒したカマキリの横で、勝利のポーズをとるロッサちゃん。
母が、驚きのあまり卒倒して、父に倒れこんだ。
「おい!しっかりしろ!」
「…。う、う、う。ひろちゃん。」
「大丈夫か?」
「う、う、う。」うわ~ん!
父にすがりつき母が大泣きする。私の人生で、初めて母が泣くのを見た。
「大丈夫。俺たちの子だ。これくらいのことで負けやしない。・・・負けやしない。」
こんな頻繁に危険さらされてるとは思ってなかった!こんなことなら、野生動物に襲われたなんて
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