第15話 カップラーメン

 午前6時。私の足元に、魔方陣が現れる。


 【パッシブ】・弟感知

 【肉体条項】・弟近接時、ステータス +5倍

 00:15:59


 「おっはよー!」

 「ちよねー。おはよ!」

 ぬいぐるみのにゃっ君を振り回しながら、飛びついてくる。


 【肉体条項】・弟接触時、ステータス +10倍、姉弟回復


 「もう、すっかり、良くなったね。」

 「うん!元気!」

 「今日は、ひろに写真を持ってきたの。」

 「しゃしん?」


 【肉体条項】・弟近接時、ステータス +5倍 DOWNダウン


 「はい。正月にとった家族写真。」

 「わー!ママとパパ!」

 「なんだい。その紙切れ?」

 「ロッサちゃん。これは、写真。映像を記録したものよ。」

 「ふーん。記録魔道具レコードみたいなもんか。わざわざ、紙にしてる理由がわからねぇが。」

 (なんか、凄そうな道具ね、ビデオかしら?)

 「見て!見て!これ、ひろのパパとママだよ!」

 「楽しそう。でも、へんな服装なの。」

 「ルルちゃん。これは、着物と言って特別な正装よ。」

 「ご主人様。貴族様だっただ~?」

 「ドッタ君。貴族じゃないよー。ただ、ちょっと、オシャレしてるだけ。みんな、ちょっと、そこに並んで~。ひろも~。」

 「並んだよ~。」

 「うん。じゃ、笑って~。はい!ちーず!」


 カシャ


 「わ!それカメラ?!カメラ?!」

 「しょぼいけどカメラよ。とーさんのお古。」

 「ひろも!ひろも撮る!」

 「うん。やり方を教えてあげるね。ドッタ君は、荷物の中の食事を用意しておいて。」


 弟の首にカメラのストラップをかけ、使い方を教えながら、写真を2枚撮る。


 「フイルムは24枚だから、あと20枚撮れるよ。家で見るからいろいろな所を撮ってね。ねーねは戻るから、昨日の食器とか持って帰るね。」

 「ちょっといいかい?昨日のコレ、また、持ってきてくれ!」


 大量にあったカップラーメンの空容器がビニール袋に入っている。


 「え?!ぜんぶ食べちゃったの?保存食って、言ったよね?!」

 「いや。その、旨かったんで…。いや、あたいだけじゃねーよ!みんなだって、食ってたんだよ!」

 「「「…。」」」


 「こんなの知ったら、料理を作ってくれるママが悲しむじゃない!もう!いいわ。野生動物に食べられたことにするから、今度は、緊急時にだけ食べてよ!」

 「わ、わーったよ!」

 「みんなも、いいわね!」

 「「「はいっ!」」」


 居間で待っていた母が気づく。

 「あら?微妙な顔してるわね。また、何かあったの?」

 「んん。なんでもない。はい。昨日の食器!」

 「そう?本当に何もなかったの?」


 かーさん。隠し事に関しては、鋭いんだから!

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