第3話 出発の時
力がみなぎってくる。
これが俺の力か。ああ、なんて アツイ 力なんだ....
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村長がなにやら呪文を唱えだした。本当にこの呪文があってるのかわ、
全然分からないがなんだか村全体が、紫色に光っているような...
「では、ゆくぞ。」
村長の言葉とともに強い風がアリルの体を飛ばした。
その瞬間、アリルの体に異変が起きた。
ああああ体が熱い。熱くて熱くて熱すぎる。
気を抜いたら意識が飛びそうだぁぁぁ。
体の内側から何か強大な"ナニカ"が溢れだしてくるようだ。
血が逆流し、肉が裂け、皮膚がはがされる感覚。
体だけじゃない、心までやられてしまいそうだ。
だが、それと同時に何か自分の中にある力が外に出てきているような気がする。
この力は何だ。
痛みとともに、何か体からわき出てくる。
ああ、この力を俺は手に入れなければならないんだ。
だけど、苦しすぎる。死にそうだ。痛い。痛い。痛い。痛い。
本当は死んでしまった方が楽なのではないか。
でも、だめだ。
俺はこの村を出るんだ。まだこの村を出るための準備だぞ。
こんなところであきらめるのか。
いや、あきらめない。
やってやるぞ。この痛みも苦しみも力も何もかも、この俺が手に入れてやる。
自分のすべてを使うんだ。内側に押さえ込め。内側に内側に内側に内側に内側に。
その数秒後、なにかが爆発するような、すさまじい轟音が鳴り響いた。
高い煙が上がった。さっきまで、アリルがいた場所で。
「なんてことじゃぁぁ。アリルが、アリルが死んでしもうたぁ。」
そう、村長が泣きわめいていると、煙からなにやら黒い人影が現れた。
「なーに泣いてんだ。俺が死ぬわけないだろ。」
「生きておったのかぁ。アリルゥゥ。」
アリルがにこっと笑い、こう言った。
「あーあ、もちろん生きてるぜ。しっかり"能力"というものも手に入れてな。
これ、どうやって使うんだ?」
アリルは、手から小さな光を出していた。いや、光ではない。
それは、"火"であった。とても小さな、小さな火であった。
「アリルよ、お前の能力は、それであったか。ではこれを使うと良い。」
村長は、アリルにライターを渡した。
「これを使うと、お前のその小さな火を大きくできる。
それを手でかざし、火を操ってみろ。」
アリルが言われたとおりにやると、その小さな火は、大きくなりアリルの手の動きに合わせ動くようになった。
「これで出発する準備は出来たな。そのライターは持っていくと良い。
きっと何かに役立つだろう。」
「ありがとよ。村長。もう俺は出発するよ。あと、最後に1つ。
俺がここまで成長できたのは、この村のみんなのおかげだ。ありがとう。
じゃあ、もういくね。」
そう言い、アリルはこの村から旅立っていきました。
これが救世主のはじめの一歩でした。
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