73

リヌクは、苦しそうに肩で息をしていた。



「タバコはなかったよ」



パドスは、リヌクさらに近寄ろうとした。



「来るな」と、リヌクは言った。



「どうしたんだよ?」



リヌクは、自分の腹を両手で押さえていたが、その部分は血で赤く染まっていた。



リヌクが、腹に当てた両手を少し動かすと、そこからナイフが見えた。



「何をしてるんだ?」と、パドスは言った。



「何も、何も言うな」リヌクは、うなだれた頭を持ち上げることなく言った。



「でも……」



「もう、こうなってしまったら石になるのをじっと待つだけだ」

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