第72話 旅立ち 58

「迷うことはない。振り返らず進むだけだ」



もう、焚き火は小さくなっていた。



「パドス。荷物のなかにタバコがあったはずだ。取ってきてくれないか」リヌクは、焚き火を細い枝でつつきながら言った。



「わかった」パドスは、ラバのところまで歩み寄り、荷物を探った。



しかし、どこを探してもタバコは見つからなかった。



そのとき、生ぬるい風が吹いてきた。



少しは離れた場所にいるリヌクを見ると、つらそうに岩にもたれかかっている。



「タバコなんてないよ!」と、パドスは叫んだが、リヌクは何も返事をしなかった。



パドスは、ラバの上の少し乱れた荷物を整えた後、またリヌクのところまで戻った。

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