第70話 旅立ち 56

リヌクは息苦しそうに口を開き、額からは大量の汗が流れていた。



「どうしたんだよ」パドスは、その異変にすぐに気づいた。



「パドス、俺はもうだめだ」リヌクは、自分の腰の部分に手を回した後、何かを地面に投げ出した。



それは、死の風から身を守ってくれる魔よけの砂が入った袋だった。



パドスも同じ袋をリヌクからもらっていた。



しかし、そのリヌクの砂袋は破けていて、なかの砂はもうなくなっていた。



「いつ破けたんだよ?」とパドスは聞いた。



「さあな。スライムと戦ったときかもしれないが……」



パドスは、腰に下げた自分の砂袋を取り出し、リヌクに差し出した。「さあ、これを」



「いや、それは、お前のものだ」



「だけど……」



「もう、遅い」リヌクは、自分の足を軽くたたいた。

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