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パドスは、一本の木の近くまで歩いていった。



そして、その木肌を触った。



リヌクは、ラバの荷物から取り出したたいまつに火をつけ、パドスの近くに歩み寄った。



たいまつの火が照らした木肌は、紫色をしていた。



「あぁ……。なんということだ」リヌクは、その木にしがみついた。



しばらくその状態を保っていたが、徐々に手はその幹から滑り落ちていった。



地面にうずくまったリヌクは、「ううぅっ」という泣き声をあげた。



「どうしたの?」と、パドスはリヌクのすぐ後ろから声をかけた。



「ここからは先は魔の森だ……」と、リヌクは森の奥を見つめながら、「もう、ここは人間が住める場所ではない」



「これからどうするんだよ」

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