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近づいていくと、それはリヌクだった。リヌクは、右足を引きずりながら歩いていた。



パドスが声をかけると、リヌクはゆっくりと振り向いた。「おお、生きていたのか」



「足は大丈夫?」



「なあに。ちょっとひねっただけだ」



後ろを振り返ると、村全体が炎に包まれていて、その上の空は真っ赤に染まっていた。



まだ、赤い鳥がその上空を乱れ飛んでいる。



「今日、初めてファイヤーバードを見たが、あいつらの種族が滅んだ理由がよく分かった」



リヌクは、右足を押さえながら、遠くの村を見た。



「えっ?」



「すべてがなくなるまで燃やし尽くすんだ」




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