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その空間のなかには、パドスとその隣にもう一人誰かが座っていた。



だが、それが誰だかはっきりしない。



やがて花畑を照らしている太陽は、遠くかなたに姿を消し始め、花の丘を真っ赤に染めた。



パドスは、それを夕陽だと思っていた。



だが、それは夕陽ではなかった。



たくさんの大きな炎が遠くの空に見えた。



それは、まるで空を燃やしているかような凄まじい炎だった。



パチパチと燃えるような音。



その音は夢ではなかった。パドスは目を開いた。



割れた窓から、怒り狂ったような真っ赤な炎が見えた。



これは現実だ。



「リヌク!起きて!」



パドスは、いびきをかいて寝ているリヌクの肩を力一杯揺さぶった。

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