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声は、くちばしから出ているようで、まるで九官鳥がしゃべっているような声だった。



ウォーターバードが言ってることは、理にかなったものではなかったが、これ以上うるさくされるのはたまらないので、リヌクは、ロープをほどくことにした。



「覚えてらっしゃい」と、ロープをほどかれたウォーターバードは捨て台詞をはいて窓から空へ飛んでいった。



「パドス。怪我はないか?」と、リヌクは尋ねた。



「うん」



幸いなことに、ランプは壊されることなく、青い炎がゆらゆらと揺れていた。



騒動がすぎて、パドスとリヌクは再び眠りについた。



パドスは、もうランプに触ることはなかった。



危機が去った安心感からか、パドスには、すぐに眠気が襲ってきた。



意識がなくなるにつれて、夢のなかにたくさんの花が咲き乱れる丘が姿を現した。

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