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「おい、起きろ!」



誰かの声がして、パドスは目を開いた。



そこにいたのは、リヌクだった。



彼は戻ってきたのだ。



しかし、リヌクの口元を見ると、赤い血が付いている。



「それはどうしたんだい」



パドスはそれを見て聞いた。



「なんでもない」



リヌクは血を口でぬぐった。



荷車はすでにラバにつながれてあった。



リヌクが車を力強く押すと、ラバの引っ張る力も合わさって、勢いよく車輪が回った。



それからは、車輪が岩に引っかかりながらも、彼らはなんとか谷を抜けることができた。



かなりの労力を要したのは言うまでもない。

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