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パドスの体は、宙に浮いて大きな岩にたたきつけられた。



彼の意識は遠のき、額からは少し血が滲み出した。



リヌクは、パドスのことにはお構いなしで、狂ったようにラバから荷車の柄についたロープをほどいていた。



ロープが完全にほどかれると、荷車の柄もラバから離れて、ラバは自由の身になった。



自由になった開放感からか、ラバは、頭から尻尾まで体全体をぶりぶると揺さぶり始めた。



「よし」と、リヌクは言った。



パドスは、岩に打ちつけた頭に手を当てながら、



「いくのかい?」と、リヌクに訊いた。



「ああ、いくとも。車は置いていく」



その言葉を聞くと、パドスは、ふらふらしながら荷車まで歩いていった。



おじいさんがくるまれている毛布にしがみつくと、「おじいさんを置いていくわけには行かないよ」と言った。



「私にとってはただの石だ。お前が行かないというのなら、私一人で行く」



リヌクは、感情を押し殺しながら、力強く言った。

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