28
ラバもパドスに従うかのように目を閉じている。
紫色の空には、雲の合間からたくさんの光線が地面に向かっている。
それは、光のカーテンのようだった。
その中の一筋の光の様子が少しおかしかった。
何かを探しているように左右に動いているのだ。
その光は、速いスピードで橋の近くまでやってきて、スポットライトのようにパドスを照らし出した。
パドスのj体から無数の光の粒子が浮き上がった。
深呼吸したパドスは、ラバの鞍をつかんだまま、一歩後ろに下がった。
すると、ラバの足も一歩前に動いて、橋の崩れ落ちた部分に引っかかっていた車輪が回って、橋板に上がってきた。
パドスは、そのまま二歩、三歩と後ずさりした。
車輪もその動きに合わせて板の上を進んでいる。
そして、車輪が橋板から土の部分に達したとき、橋から板が割れるような、凄まじい音が響き渡った。
橋は真っ二つに割れて、橋板が落ちて激流に飲まれ、川の中に消え去っていった。
危機一髪のところで、パドスは荷車を橋から引き離すことができたのだ。
リヌクは、その様子を呆然と見ていて、何の言葉も出なかった。
橋の崩壊する音が完全におさまり、静寂が訪れたとき、リヌクはわれに返った。
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