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同時に、荷車の傾きが前よりも大きくなった。



ラバの前の右足が、崩れた橋板を離れて大きく宙に浮きあがった。



パドスは、必死にラバを抑えようとしたが、しびれきった手は言うことをきかない。



あとは、ラバが崩れた橋板から川に落ちていくのを待っているだけだった。



それでも、パドスは、鞍をつかみながらラバの目をしっかり見据えた。



「力を抜いて」パドスは、ラバに向かってささやいた。



鞍をつかんだパドスの手の力が徐々に緩んでいった。



ラバの宙に浮いた前足も力が抜けて、自然と地面に向かって下がっていく。



パドスは何をする気だのだろうかと、リヌクは不思議に思った。



崩れた橋板に引っかかっている荷車の車輪がさらに、川に向かって下がっていく。



パドスは、じっと目を閉じていた。

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