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ラバも必死である。



なんとかこらえて、再びその足を板の上に付けて踏ん張った。



ラバの手綱を外したリヌクは、ゆっくりとパドスがいる向こう岸まで歩いていった。



「ああぁ」



パドスは、今にも崩れ落ちそうな橋の上にいるラバをじっと見ている。



そして、リヌクがパドスのところまで歩いてきて、その足が橋から完全に離れるのを確認すると、パドスはすぐさまラバのところまで橋の上を駆けていった。



「パドス!危ない!」



リヌクは、手を出してパドスをとめようとしたが、その手はパドスに届かなかった。



橋板を駆けていったパドスは、ラバの前までくると、やさしくラバの頭をなでた。



「すぐに助けてあげるからね」



ラバに向かってやさしい声をかけると、パドスは、ラバの鞍を両手でしっかりつかんだ。



パドスは、大きな唸り声をあげ、ラバの鞍を力いっぱいつかんだ両手を後ろに引き始めたのだ。

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