23
リヌクは、橋の前で少しばかり立ち止まった。
大きく深呼吸をすると、「さあ、いこう」と、自分に言い聞かせるように言った。
そして、橋に一歩足を踏み出した瞬間、橋板からギィという音が響いた。
リヌクの足はそこでぴたりと止まった。「ラバを渡らせる前に、私が向こうに渡ってみよう」
リヌクは、ラバの手綱をパドスに渡すと、確かめるようにゆっくりと橋板に足を踏み出していった。
ギィギィという橋板のきしむ音が進むごとに響いてくる。
その音を聞きながら、緊迫した時間は過ぎ、リヌクはようやく向こう端に渡りきることができた。
せいぜい五分程度の時間だったが、その何倍にも長く感じられた。
「大丈夫だ。さあ、パドス、お前もこっちへ」と、リヌクは向こう側にいるパドスに向かって叫んだ。
パドスは、ラバの手綱をしっかりつかんで、歩き出した。
パドスはラバと一緒に橋を渡ろうとしているようだ。
「パドス、ラバは連れてこなくていい。まずは、お前だけこっちにきなさい」と、リヌクは向こう端から叫んだ。
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