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「普通の人間は、その風を受けると石になってしまう。お前はまだ石にはなっていないが、これからどうなるか分からん。持っておきなさい」
「ありがとう」と言って、パドスは、その袋を受け取った。
「いいか。絶対に、その袋は失くしてはならなぬぞ。私が持っているものと、今渡した袋、二つだけしかないのだから」
遠くには、紫色の雲を突き刺すように地上まで一直線に伸びた太陽光線がいくつも見えた。
太陽の光は、死の風で赤く変色した土をさらに赤く浮きあがらせて見せた。
ラバは、石のおじいさんを乗せた重い荷車を引いて歩いている。
二人は、パドスの住んでいた村から、もうずいぶん離れた所を歩いていた。
今の場所からは、米粒ほどの大きさの村をかろうじて確認することができる。
目の前には、長さが五メートルほどの小さな橋がかかっていた。
「ここから先はもう別の土地だ」と、リヌクは足を止めて言った。
パドスは、足を止めて小さくなった自分の村をじっと見ている 。
少しばかりの沈黙が続いた。
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