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石のおばさんの目からは、滝のような涙が流れ出した。



「おばさん、どうしたんだろう。こんなにたくさんの涙が……」パドスは、その顔をじっと見つめていた。「そうだ!うれしいんだね、おばさん!おばさんは心の底から喜んでいるんだ」



おばさんは心の底から痛がっているのだと、リヌクは思った。



「きっと、元に戻してあげるからね、おばさん」



パドスは、力強くおばさんに声をかけた。



「さあ、出発だ。あそれから、そのおばさんの肩の石だが、くっつけておいたほうがいいぞ」と、ラヌクは言った。「肩の石?」



パドスは、落ちた石にまったく気づいていない様子だった。



「あ、それから、これを渡しておこう」リヌクは、懐から小さな布の袋を取り出した。



「これは何?」



「魔よけの砂だ。これをもっていると、死の風から守ってくれる」



「死の風...」

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