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それを見たリヌクは、胸が締め付けられるような思いだった。



「しかし、人間以外の世界では、石になったものを元に戻す力を持っているものがいると聞いたことがある」



「それは本当なの!?」



パドスは、涙で濡れた顔をすばやくあげた。



「ああ……」



リヌクは、目をあわすことなくうなずいた。



リヌクが言ったことは真実であったが、普通の人間が人間以外の世界に足を踏み入れることは、ほとんど不可能に近かった。



リヌクがこのようなことを言ったのも、パドスに少しでも希望を持ってもらいたいという思いからだった。



「それじゃ、おいらのおじいさんも、おばさんも、元に戻るんだね?」パドスの口元が少しほころんだ。



その表情を見たリヌクは、思わず顔をそむけて、「ああ、戻るとも……」と、つぶやくように言った。



「おばさん、きっと元に戻るよ」



パドスは、喜びのあまり、石になったおばさんの両肩を思い切り押さえ込んだ。



すると、右肩の一部がポロリと地面に落ちた。

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