18

「これは涙では...」と、リヌクは、その石から流れる液体を指ですくった。



「おばさん、泣いているの?」パドスは、石になったおばさんの両肩をぎゅっと力強くつかんだ。



「石になっても、生きているのか」と、リヌクはつぶやいた。



「おばさんは、生きているんだ」パドスは、さっきよりもより一層力強く、おばさんの両肩をつかんで、「おばさん!」と力強く叫んだ。



「残念だが、一度石になった人間を元に戻すことは、われわれにはできないんだよ」と、リヌクは言った。



「おばさんは、ずっと石のままなの?」



「残念だが……」リヌクは、パドスから目をそむけると、遠くの方を見つめた。



「そんなのないよ!」パドスは、泣き叫んだ。

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