17

その中のひとつの石は、人が仰向けに寝ているような状態でそこに置かれていた。



その胸の部分で祈るように両手を組んでいる。



その石を見て、パドスは「おばさん……」と言った。



「知っているのか?」とリヌクはたずねた。



「みんな石になってしまったよ」



パドスは、その石をがっちりと両手でつかんで、「どうしておいらだけ……」と言って、自分の頭を石につけ、全身をぶるぶると振るわせて悲痛な表情を見せた。



リヌクも、パドスの表情を見て、哀れに思った。



パドスは、頭を上げてその石に触れながら指を動かした。



パドスの指が石の顔と思われる部分に達したとき、顔の右側のくぼんだ部分から、一粒の液体が流れ始めた。



そのくぼんだ個所は目の部分だと思われる。



リヌクは、その変化に気づくと、その石にさらに近寄っていった。



その液体は、石のもう片方の目からも流れ出している。

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