16
また、地球と同じ春夏秋冬の季節もあった。
この世界の時間の流れは、ほとんど地球と同じだったのだ。
陽は高く昇り、ちょうど正午の時間になろうとしていた。
リヌクとパドスは、石のおじいさんを乗せた荷車をラバに引かせながらこの村を出発した。
猫のリルが後方から走ってきて、ぴょんと跳ね上がって両方の前足をパドスの背中の両肩に引っ掛け、ぺたりとくっついた。
両方の後ろ足も左右に大きく開いていたので、それはまるで天日干しされたアジの開きのような姿であった。
「その猫、いつもそんな格好でしがみついてくるのか?」と、リヌクは、額の傷をさすりながらパドスに訊いた。
「うん。あまり歩くの好きじゃないみたいなんだ」
そんな格好でしがみついているほうが疲れるのではないかとリヌクは思った。
数分ほど歩いたところに、人の形をしたたくさんの石があちらこちらに散らばっていた。
それを見たパドスは、足を止め、その石のもとに駆け寄っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます