12

絶望していたところに、どこからか足音が聞こえてくる。



リヌクは、充血した目を、無理にその足音のほうへ向けた。



その足音は、一度は去っていったパドスのものだった。



戻ってきてくれたのか。



先ほど向うへいってしまったのは、なにか考えがあってのことだったのだろう。



パドスが近づいてくると、手に釣竿を握っていることがわかった。



竿には、糸と針がついている。



まさか、それで猫を釣ろうっていうわけじゃないだろうな。



そうリヌクは思った。



パドスは、ニヤニヤしながら、釣竿をしきりにびゅんびゅん振っている。



糸とそれについた針もあらゆる方向に動いて、宙に円を描いている。



猫を釣るならはやく釣ってくれと、リヌクは思った。

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