5

少年は、ベッドに横たわっている石になったおじいさんを見つめた。



「おじいさん?もうお前のおじいさんは石になってしまったんだ」



「石になっても、おいらのおじいさんなんだ」



「気持ちはわかるが」



リヌクは、天井を見ながら考え込んだ。



ここから一番近くの町までは、約二日かかる。



この少年一人だけであれば、一緒にラバに乗ってなんとか次の街にたどりつくことができるが、石になった人間を運ぶとなると、これは大変な作業だった。



その道のりも安全ではなかった。



死の風は、多くの怪物たちを呼び寄せる。



この周辺の地域も死の風を影響を受けていて、最近では怪物たちの姿を見かけることも少なくはなかった。



「馬はいるか?」とリヌクは少年にたずねた。



「馬? もう死んじゃったよ」と少年は答えた。

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