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不思議なことに、その周辺には人間の背丈ほどの細く縦長の岩が点在している。



「ここも終わったか」



突然強い風が吹いてきて、赤い土を撒き散らした。



土煙の間から小さなレンガ造りの建物が見える。



「はっ!」



リヌクは、目を細めてその建物を確認すると、その家を目指して駆け出した。



建物の近くまで来ると、その煙突から煙が上がっていることがわかった。



……この中には誰かがいる。



火を起こして煙突から煙をあげるという能力を持つものは、この世の中にそう多くいるわけではない。



彼は、この家にいるのは、人間だということを確信した。



その建物の中に入った。



そこに備え付けられているベッドには人が横たわっていて、そのそばには十歳ほどの少年が付き添うように木製の椅子に座っている。

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