第二章「極寒の焼き豚」
第4話
4
「リエット様。この地をもう少しいけば、おそらくですが、天気が良い時ならば彼方に巨大な山がみえるはずです。その頂にあるのが、魔王城です」
御者台で手綱を握りながら、クルトンは説明した。フツーニの町を後にし、ソタナフマ連合の内陸部から、沿岸部へとクルトン達は進んでいた。
雨に見舞われて道がぬかるむことも無く、馬のタルタルの調子もとても良い。整備があまりされていない街道でも、力強く馬車を進ませてくれていた。
「懐かしいですわ」
リエットがポツリと呟いたのを、クルトンは聞き逃さなかった。
「リエット様は、この道を通ったことが、あるのですか?」
「ええ。生まれ故郷からタマニアルの地へと向かう時、この地を通りました」
リエットがしみじみとそう呟いた。
馬車の荷台に腰かけ、リエットは風に金色の髪をなびかせている。重くなりそうな雰囲気を感じ取り、和らげるためにクルトンは朗らかな笑みを浮かべた。
「この先にある城郭都市フシギトを通りましょう、リエット様」
「たしか、王都フシギトには港がありましたわね。色々と物品もそろっているはず。武具の研磨や手入れ用品、乾物などを手に入れておきましょう」
「はい。私も雑貨や医療用品が欲しかった所ですので」
クルトンはそう答え、タルタルをゆっくりと進ませた。
馬車に乗って村を一つ通り過ぎると、林の切れ間から城郭が見えた。
樹の匂いにまじり、ほのかに潮の香りがする。
遠目から見ても大きな都だと分かり、近づけばなおさらだった。大きな湾を持つ都市だ。都市は城郭と天然の堀で守られている。リエットが言うには、城郭の中にも塀があるらしい。巨大な湾と港湾施設によって商業を根付かせ、人が増えるたびに城郭を外へ外へと拡大したらしい。その内、湾全体が城郭にすっぽりと包まれることになったそうだ。
城郭の外には、一面の畑が広がっている。麦や米など、様々な作物が植えられていて、農作業に精をだす者たちや、作物を城へと売りに行く者の姿が見える。
「都市に入るには、大きな石橋を通るしかありませんわ」とリエットが言った。
だが、石橋へ向かい、クルトンは目を白黒とさせた。
長く大きな石橋に長蛇の列が並び、荷馬車や、背負い荷を下ろす行商人などで渋滞が起きていたのだ。クルトンも以前この城郭都市は通ったことがある。
だが、これほどの人だかりではなかった。
「すごい行列ですね、リエット様」
「ええ。橋の上でこれほどの人だかりとは。以前とは随分様子がちがいますわ」
リエットがそう不思議がった。
なにか、異常事態が起きているのだろう。
橋の上では検問が敷かれていた。不審者のチェックや、旅人や行商人から通行税などを取るのだ。それなりに厳しくやっているようで、昼下がりに行列ができていた。
(ずいぶん検問が厳しくなっているな……以前とは違う)
クルトンはそう感じた。
待つしかないようだが、しかし退屈はしない。
長い行列を狙い、物売りや宣伝人が活発に動いていた。
「安いよ安いよ! どうだいそこの旅人さん、こいつはちょいとお目にかかれない鉱石だ! 幸運を呼び込む石でね、これ一つで金持ちまっしぐらさ!」
という怪しげな濁声の石売りもいれば、
「美味しいよ! 小腹がすいたろう、おひとつどうだい? 本店は町の東にあるからね! ミタラシの団子屋ってんだ、気に入ったらぜひ寄っとくれよ!」
という団子屋の出張販売人も居るし、
「神託が聖女様にもたらされてより、神の御威光は増すばかり! あれほど優勢であった魔王国は侵略の魔の手を伸ばせず、国境線は落ち着きを取り戻した! しかし! これで満足してはならぬ! いずれ奇跡を宿した勇者が魔王を打ち払うことだろうが、我らにも出来る事はある! 魔王の魔の手から、我ら神秘教会とソタナフマ連合の奪われた土地を救い出さねばならない!! さあ、諸君らも奮いたまえ!」
と、声を張り上げて宣伝している教会関係者もいた。
「クルトン」
「なんでしょう、リエット様」
荷台から呼びかけられ、クルトンは御車台から降りてリエットの元へと近寄った。
「あそこで教会の宣伝をなさっている方。服装や身に着けておられる法具から、この城郭都市の教会の方だと思われます。あの方を、ここへお呼びしてくれますか?」
「はい、わかりました」
「勇者がきた、と言えば通じると思います」
リエットに言われるがまま、クルトンは教会関係者の元へと向かい、言われたとおりにリエットの言葉を伝えた。すると、クルトンについて馬車まで来てくれた。
「わたくしは勇者です。教会より認定を頂いておりますわ」
馬車から降り、リエットは懐から数珠の輪を取り出して見せた。
透き通るように綺麗で大きな宝石が、輪っかに一つだけある。宝石には、特徴的な印が刻まれていた。神秘教会から認定を受けた勇者のみが与えられる、特別な祈りの道具だ。
神秘教会の影響力が及ぶ国では非常に役立つ。
教会関係者が目の色を変え、リエットに対して深々と頭を下げた。
「おお、これはこれは。勇者さまでありましたか」
「フシギトへ入りたいのですが、ご配慮願えますか?」
「はい、勇者様。もちろんでございます。おまかせください!」
宣伝していた教会関係者がリエットに頭を下げ、役人の方へと足早に駆けていき、検問所の責任者らしき役人を引き連れて、ふたたび足早に戻ってくる。
その役人にもリエットは例の数珠を見せた。
馬車で手綱を握っていたクルトンが様子を見るに、話はすぐについたようだ。
「勇者様の馬車だぞ! 道を開けてお通ししろ!」
賄賂と同じくらい、リエットの数珠は役人をきびきびと動かす力を持っていた。
魔王城を目指すには大小無数の国や町を通る事になり、せめてソタナフマ連合側の国では検問で足止めを食らったりしないよう、通行証の代わりとなるのだ。
役人がリエットから、クルトンへと目を向け、手の平でおずおずと示した。
「では勇者様、そちらの御連れの方は……」
「御者をしてくれている彼はクルトン、癒しの奇跡を扱います。わたくしの護衛者ですわ」
「癒しの奇跡の使い手までご同行とは。よくぞいらっしゃいました」
役人の言葉遣いがとても丁寧だ。
勇者の影響力というのは、なかなか馬鹿にできない。
そんな勇者と匹敵するほど歓迎されるのが、癒しの奇跡の使い手だ。
教会認定の品など必要ない。癒しの力を見せればそれでいい。医者の居ない村などでは、それは手厚くもてなされる。癒しの使い手は魔王国側でもソタナフマ連合側でも歓迎されるため、ある意味、リエットより強力な通行証を持っているとすら言える。
役人は、傍にいた下っ端役人を指さした。
「おい、お前。勇者様一行の御者をお勤めして、ご案内して差し上げろ」
「あい。わかりやした」
下っ端役人はひょこひょことした動きで頷き、クルトンの隣へと上ってきた。
「馬の手綱をお持ちしやしょうか? その方が、町の景色を良く見られるかと」
馬車に乗り込んで来た下っ端役人がそう言った。
簡素な鎧を着ているので、クルトンが見るに、おそらく衛兵だろう。
申し出を快く受け、クルトンは手綱を預けた。
「ええ、ではお願いします」
「……それで、あのぅ、クルトン様。実はうちのおっかぁが、腰をわずらいやして。知り合いにも足の調子やら、肺の具合が芳しく無い者がおります。少し見て頂けやせんか?」
と、このように、癒しの奇跡の使い手にはすぐ声が掛かる。
一人診てくれと言われて見ていれば、なぜか二人になり、その二人を診ていると四人と家畜が三匹ほどやって来る。クルトンの旅先ではいつもそうだった。それがソタナフマ側の情報収集に一役買ってくれたので、クルトンとしては文句はなかった。
「ええ、構いませんよ」
「ほんとですかい?」
そいつはありがたいやと、下っ端衛兵は嬉しそうにしている。
クルトンは人差し指を立て、ただし、と付け加えた。
「といっても、私はまだまだ、神への祈りの足りぬ身。それほど高度な奇跡が使える訳ではありません。症状を和らげたり、旅の途中ですので、出来たとしても診察までです」
「いえいえ、そんな。それで十分、ありがてぇです」
「その代わりと言ってはなんですが、宿屋を紹介して頂けますか? 貴族の方でもくつろげるような、海の景色を一望できる、良い部屋のある宿だとなお良いのですが」
「おまかせくだせぇ! とっておきの宿屋を知り合いがやってるんです!」
下っ端衛兵はそういって胸をどんっと叩いた。
(まあ、一安心か)
これで少なくとも、ひどい宿へは案内されないだろう。敬虔で禁欲的な傾向にあるリエットの性格と行動を考えるに、あまり豪勢が過ぎる宿では敬遠するかもしれない。
中の上の宿屋くらいが丁度いい。
久しぶりの大きな街だ。クルトンもいい宿で休息を取りたかった。
しかし、荷台からリエットが身を乗り出し、クルトンをたしなめるように見た。
「……クルトン、先ほどのような気遣いは無用ですわ。野宿はもちろん、泊めて頂けるなら馬小屋でも構いません。それにこの街の教会へ行けば、質素とはいえ宿泊の面倒は見てもらえますわ。旅の初めから贅沢をしていてはいけません」
「ですが、リエット様。旅はなるべく楽しむ、とおっしゃったではありませんか。それに、魔王国側へと入り込んでゆけば、このように教会の印をかざして特別扱いを受ける、という訳にも行かなくなっていくでしょう。良い宿にばかり泊まる事も出来なくなるはずです。今だけしかこういった贅沢は出来ないのですから、その仕納めを、今しておくべきです」
クルトンがさらりと言い返すと、リエットの気持ちも揺らいだらしい。
「……そうですわね。あなたの言う事にも一理ありますわ」
「それに、宿代はまけてもらいます。癒しの奇跡もタダではありませんからね」
「まぁ、クルトンったら……」
クルトンが賢しく微笑んでみせると、リエットが目を丸くしていた。
馬車はタルタルに引かれ、コトコトと石畳の上を進んでいる。王都フシギトは港湾を舞台にした円形劇場のような作りになっていた。フシギトの民は一年中お祭り騒ぎをしている祭り好きとの噂だったが、道行く人々にそこまでの活気はない。
(お祭り騒ぎが出来ない原因と言えば……あれだろうな……)
クルトンは湾内を見てそう思った。
リエットも顔を曇らせている。
「あれは……魔王軍の艦隊ですわね、クルトン?」
「そのようですね、リエット様。……いつごろから、魔王軍が?」
クルトンが尋ねると、下っ端衛兵はバツが悪そうな顔をした。
「へぇ、クルトンさま。二週間ほど前から、あの様子で。湾を封鎖して、嫌がらせを」
「二週間も……しかし見た所、戦火は上がっていないようですが、魔王軍は何を?」
「いや、そんな難しい事を、あっしに聞かれましても……」
下っ端衛兵が頭をポリポリと掻いて困り顔をすると、リエットが咳払いした。
「おそらく外交交渉でしょう。ああして攻めずにいるのも、できればフシギトを味方に引き込み、ソタナフマ連合の結束を解くのが狙いなのですわ」
「なるほど。さすがです、リエット様」
クルトンがリエットをおだてていると、その内、宿についた。
リエットの部屋は豪華過ぎず質素でもなく、調度品にもそこそこの格調があり、寝具も清潔で、見晴らしの良い最上階だった。部屋の格としては、上の下と言ったところだろう。
「余計な出費になりますわ。寝具も二つありますし、クルトンもわたくしの部屋に――」
「いかに旅とはいえ、リエット様。貴族の女性として、こういう場では分別をしっかりなさいませんと。従者と部屋を共にするなど、リエット様の品位に関わります」
「そうでしたわね。野宿が板について……いけませんわね」
リエットは恥ずかしいとばかりに、自らの頬に手を当てている。
クルトンは頷いた。
「私は雑魚部屋で十分です、リエット様。訪ねて来る病人に対応せねばなりませんから、同室ではおそらく、騒がしくて寝る間も無くなってしまうかもしれません」
「わたくしに手伝えることはありますか?」
「今宵はゆっくり休んでください。魔王討伐の旅において、リエット様のお身体こそが我々の資本なのですから。……さぁ、リエット様。買い物に出かけましょう。日用品など、補充しておかねばなりませんし、嗜好品もそろっておりますよ、ここならば」
そうリエットを促し、馬屋のタルタルの様子を見てから、クルトンは宿を出た。
洋紙と鉛筆を求めて雑貨屋を訪ねたが、画用紙しかなかった。その画用紙の束も最後の一つであり、クルトンはやむなくそれを買った。
報告書やメモ帳、スケッチブックを作ろうと思ったのだ。
なんでも、魔王艦隊に港を封鎖され、物流が上手く機能していないらしい。品薄だった。ソタナフマ連合側で作られた画用紙らしく、あまり質の良い紙ではなかった。クルトンが難しい顔で画用紙の束を数えていると、リエットがその手元を興味深そうにのぞき込んでくる。
「クルトンは、絵が描けるのですか?」
「ええ、多少習ったことが。これは、メモ帳用にしようかと」
リエットに聞かれ、クルトンはそう返した。
「まあ、絵を。素敵ですわね」
「……リエット様の似顔絵、描いてみましょうか?」
クルトンが申し出ると、リエットはためらう仕草をした。だがそれも刹那だ。ではお願いします、とリエットが海を背にして立ち止まり、淑やかにポーズをとった。
店先のベンチに腰かけて、クルトンは素早く描いた。
改めてよく観察すると、リエットは抜群に美しい。
輝くような金色の髪といい、艶やかな肌と言い、みずみずしい口元といい。実に均整がとれている。神に愛された女勇者というより、女神に近いだろう。
モデルが非常に良いためか、養成学校で彫像を相手にしていた時の事をクルトンは思い出した。最初はまるで絵心がなく、先生に何度も叱られたものだ。
クルトンが物思いにふける前に、リエットの絵は一応の完成を見た。
「仕上がりはまだですが、リエット様。こんな感じでどうでしょう?」
クルトンが画用紙をくるっと回転させて見せると、リエットは口元に手を当てた。
「まぁ、すごい。鏡を見ているよう! ……ねぇ、クルトン?」
「はい?」
「もうすこし……その、目を大きく、なんて、できるかしら?」
リエットがおずおずと、そう注文を付けてくる。
クルトンは思わず、頬が緩んだ。
リエットもなかなか、年相応の可愛らしい事を言う。はにかみながらお願いする姿だけを見れば、魔王を倒そうとする勇者かつド変態マゾなどとは、まったく思えない。
クルトンは「ええ、お手のものです」と、新しい画用紙を取り出して、ぱぱっと描いた。リエットの要望を聞きながら、細々とした手を加えていく。
そして、もう一度画用紙をくるっと回してリエットに見せた。
「こんな感じでどうでしょう? リエット様」
クルトンが尋ねると、リエットはとても感じ入った様子で頷いた。
リエットの目は、クルトンの絵に釘付けになっている。
「クルトンがもし絵描きを目指すなら、わたくし、パトロンになりますわ」
「ははっ、この旅が終われば、すこし考えてみます。……と、いっても、まだまだ旅もはじまったばかり。絵一つ分、荷物が余計に増えるだけですけど」
「いいえ、せっかくクルトンが描いてくれたのですから。大切にしますわ」
リエットは絵を受け取り、心から喜んでいるようだった。
なんとも無邪気な様子だ。
クルトンは胸がずきりと痛んだ。
最初の似顔絵の方は、より精密な描写に仕上げて、上層部に送って手配書などに使ってもらおう。頭の中でソロバンを弾きつつ、胸の痛みを無視してクルトンは鉛筆を走らせた。
リエットが剣の研磨やメンテナンス用品などを買っている間、鍛冶研磨屋の店先でクルトンは海を眺めていた。良い風だ。しかし船の出入りはほとんどない。
魔王軍の旗が海に翻っている。
魔王艦隊が青い湾内を封鎖しているからだった。
(あの旗は、南方面艦隊のものか……今は確か、第160陸戦連隊も一緒だったはず)
クルトンはそう考えた。
第160陸戦連隊は精鋭部隊だ。優秀な魔王軍人に率いられている。
このフシギトもああして湾を封鎖されては、長くは持たないだろう。
鎖を繋いで湾を狭くし、艦隊を並べて海上交通を制限する。フシギトの民はかなり困っているだろう。艦隊は荷上場を占領する形で碇を降ろしていた。いつ戦闘が始まってもおかしくないはずなのだが、フシギトの方は兵を出すつもりが無いらしい。
魔王軍も攻め取るつもりはないらしい。
リエットの言う通り、外交交渉中なのだろう。
橋での検問が厳重で、長い行列ができていたのも、あの艦隊のせいかもしれないなとクルトンには思えた。そんなクルトンの目に、一人の幼女の姿がとまる。
先ほどからうずくまり、ずっと海の方を眺め、不安げな顔をしていたのだ。
「どうしたの?」
クルトンは声をかけた。
迷子かもしれないと思ったのだが、どうやら違ったようだった。
「あの船、いつまでいるのかな……? お兄ちゃん、わかる?」
幼女にそう尋ねられ、クルトンは困り顔をした。
「んー。わかんないけど。いつまでも居る訳じゃないとおもうよ」
「フシギトの王様が帰ってきたら、あの船もいなくなるかな?」
幼女の口ぶりからすると、王は不在らしい。
援軍の要請に、ソタナフマ連合内を遊説しているのだろうか。
クルトンは頷いた。
「そうだね。そうなれば、あの船も、いなくなるかもしれない」
「そっか……早く、いなくなってほしいな……」
か細い声を上げ、幼女は顔を曇らせた。何かしら、彼女にも事情があるのだろう。
クルトンは彼女のために何かしてあげたくなった。
「実はお兄ちゃんね、すこし絵が描けるんだ。キミの事、描いてあげよっか?」
「いいの?」
「うん。でもね、絵のモデルさんは笑顔じゃないと。できる?」
「うん!」
こんな事をしても自己満足にしかならず、幼女の問題が解決する訳でもない。クルトンは重々承知しながらも、今の自分にしてあげられる事をしようと思った。
描き上がった絵を、幼女は気に入ってくれたようだ。少し前のリエットの要望のおかげで、どうデフォルメすれば喜んでもらえるか、すこし掴めていた。
「ありがとっ、おにいちゃん! じゃあね!」
プレゼントした絵を大事そうに抱えて、迷いなく幼女は走り去った。暗い気持ちを少しくらいは紛らわせる事ができたようだった。それにやはり、迷子では無かったらしい。
クルトンはほっとした。
すると、背後からくすりと笑い声が聞こえてくる。
「ふふっ……やはり、パトロンになりましょうか? クルトン」
背後から声を掛けられクルトンが振り向くと、リエットが微笑んでいた。
「……ははっ。いずれ、なってもらいましょうかね」
クルトンは後頭部を照れ臭いとばかりに掻きながら、そう答えた。
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