第8話眠い。眠いんだよ……
『竜馬がゆく』司馬遼太郎
二十人が見送っているのに、竜馬は孤独そうに歩く。一人一人交代で唄うたいながら退屈をしのぐ。竜馬は日根野に「いかけ屋お馬」をうたえと言われるも、赤面して断る。かわりに兄権平の娘春猪がうたう。おやゆずりのいい声だった。
旅立ちだというのにちょくちょく姿をくらます竜馬。川で独りで泳いでいたり、他人の家(野村家)に勝手にあがりこんで、源平合戦の屏風に見入っていたり。ちょうど野村家に足を止めていた旅の僧侶に異相を認められるも相手にしない。
ところで竜馬は足が速い。座禅について思うところがあり、座ったつもりで歩くがいいと、十五~十八歳まで三年間、頭上に岩石を念頭に置いて暮らしていた。
阿波境のいくつかの峠を越え、吉野川上流の渓谷に分け入る。数日して阿波の岡崎ノ浦に至ると、土佐を出てからいく日目かの磯のにおいがした。――客引きの女がいる。
*何か感じたところ。
見送りは領石まで……情緒あふれる旅立ちのシーンだなあ。
「おい、何をしちょる」……竜馬の孤独が、春猪にはわかるんだなあ。
道中、晴天がつづいている。……我流ながら、三年も修行するなんてすごい。
<感想>
しみじみ……。竜馬ってスカッとする人柄だ。ひょうひょうとして。やっぱり強い人って、どこにいても修行するもんなんだなあ。
<印象に残ったところ>
「わしは歌えん」
「竜馬おじさまは、ひとりで歩いているみたい」
「眉間に不思議な光芒がある。将来たった一人で天下を変貌させるお方じゃ」
「うそをつけ」
(自分でつくった岩石に、自分がおびやかされているばかがあるか)
<ピックアップ>
土佐は南国のせいか、唄がすきで、しかも明るい調子の唄しかうけない。どんな悲惨なはなしでも、明るく仕立てなおし、それをたれか作るのか、「よさこい節」のなかに織りこんで触れてゆく。
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