第7話まあ、ゆっくりと読書でも
『竜馬がゆく』司馬遼太郎
<門出の花のつづき>
わずか十九歳にして小栗流の目録を与えられた竜馬。試合を見ていた兄の権平と父の八平が騒ぎ出し、江戸へ修行へ出そうと言い出す。剣術師匠の日根野弁治のもとへ相談にいくと、「ご子息なら、剣で飯が食えます」というわけで添書を書いてくれるという。二人はその足で老福宮内の屋敷へ行くと、無事許可が出た。
いよいよ江戸に立つという嘉永6年、3月17日。姉に挨拶して足相撲をする。
旅立つ際の「生きて無事に戻ってきますように」との「からたちのまじない」を一家総出で行う。
*この後も何度も出てくるが、坂本家は元武家だったが、山内一豊が二十四万石の禄を得てやって来た時に一領具足となり、後に金で郷士の格を買って武士に戻った。郷士は山内の連れてきた家臣の上士とは差別されていたから、故郷を出るにも許可が必要だった。このとき坂本家は老福岡家
(ちなみに一領具足とは普段はあぜに槍を立ててそこに具足を括りつけて耕作をしていた。開戦の貝の音がなったら、具足をつけ槍を持ち、馬を駆って戦場にでるというもの)
*からたちのまじない……土佐の高知城下で家の者が旅立つときにする奇妙なまじない。路上の雨だれの落ちる場所に置かれた小石を踏む。からたちを括りつけた柄杓でもって「若様、若様」といってさしまねく相手に、くるりとふり返って微笑む。
💖竜馬は強い。竜馬すごい。さすがだなあ。
竜馬立つ。いよいよか……と思ったら、竜馬も乙女姉さんも何やってんだ? ひたすらおかしな姉弟だ。
学もしならずんば死すともかへらず、か。わびしい。さびしいなあ。なんだがせつなくなる。
<印象に残った個所>
(やっぱりこの子、人なみでないのかな)
「乙女姉さん……御開帳じゃ」
「竜馬、もはや、往け」
<ピックアップ>
またのつけねまでみえた。
「どうだ」
「卑怯です」
「なにしちょる」
兄の権平が、こわい顔で立っていた。
「乙女姉さんの御開帳を見ていたんです」
権平もおかしさをこらえ、
「もう、そろそろ夜明けじゃ。竜馬は支度せよ。乙女も御開帳をしまえ」
と神妙に申し渡した。
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