第2話『竜馬がゆく』ー立志篇ー司馬遼太郎:文芸春秋

 P7、門出の花


 竜馬門出のとき。三月半ばに桜が咲いたと乙女姉さんを呼び出す源おんちゃん。一輪だけ咲いた花は源おんちゃんが一晩かけて作った紙の花だった。


 かつては手のかかる子供だった竜馬。楠山 庄助(くすやま しょうすけ)塾長には見放され、寝小便(よばあ)たれで「坂本の泣き虫」といえば「本田節の洟(はな)垂れ」という具合に伝えられ、父を嘆かせたが三女の乙女が懸命に世話をしてきた。門出を祝う人々は必ずそんな乙女のところへ来て「さびしいでしょう?」というが、乙女は空威張りをする。


 生まれつき背中に施毛(せんもう)のあったため竜馬と名づけられるも、愚童だったので駿馬でなく猫だったか、と騒がせた。しかし小栗流剣術を習い始めてから、ひと月で顔つきが変わってきた。

 源おんちゃんが言うには、竜馬の左腕にある一寸ほどのアザは、剣術で風雲を巻き起こす相だということ。


 毎日竜馬が塾で習ったことを、乙女が繰り返し練習させ、池に落としてまでしごいたところ、五年後(19歳)にはすっかり偉丈夫に育った。


 *乙女姉さんは笑い上戸で大柄。竜馬を育てた偉いひと。竜馬を信じている。

「坊さんは、きっとえらくなる」という源おんちゃんの言葉がどれほど救いだったろうか? その希望が後の竜馬をつくったんだ。竜馬は別人に育った!


 <シーン説明>

 坂本龍馬の門出。竜馬の幼少期の話。駿馬か猫か? 乙女姉さんのしごきに耐えて大変身! やはり駿馬だった!! 乙女姉さんも源おんちゃんも見る目ある~~!!!


 <ピックアップ>

 日根野弁治は城下でも随一の達人で、和術(やわら)にも達していた。もっともこの小栗流というのは、刀術のほかに、和術と拳法を加味したもので、稽古もひどく荒っぽい。この先生は、稽古のときなど打ちこみが軽いと、「それではイタチも斬れん」と弟子を叱った。

「こうやるんじゃ」

 竹刀を上段にとり、ずしっと腰を沈め、同時に、ぱんと相手の面を打つ。

「みたか。腰で斬る」

 打たれるものはかなわなかった。面をつけているのに、衝撃が頭のシンまでくる。鼻の奥がきなくさくなり、目がくらんで倒れる者もいた。十四歳の竜馬も、ずいぶんやられたらしい。


 <反省>

 司馬遼太郎さんの文体、読みやすいから気楽に構えて読み始めたけれど、とってもユーモラスなんである。もっと読もうと思わされます。

 もっと詳しく書き出せたら、物語の良いところを取りこぼさなかったろうになア。わたくしは読みが浅いな。

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