第2部 第10話「吸血鬼の蘇生法」
1
「それじゃ、行ってくるね!」
グリが元気にそう言った。
「うん。……グリ。気を付けるのよ? 日本とかいう国の人は……。」
……?
「分かってるってばお姉ちゃん!」
いや、濁さないで! めっちゃ気になる!
「いやー。それにしてもこんな所で仲間ができるなんてね。」
希里花さんがそう言った。
「……ってか女子異常に多いような気が……。」
僕はそう呟いた。
「ひょっとして、これが俗に言う“はーれむ”というものですか?」
とイリシアが言った。
それに対し、結衣奈が、
「違うわよ。こういうのは、“ダメ男の護衛”って言うのよ。」
と……って!
「結衣奈! 変な事を教えるな!」
「へえーっ。ダメ男の護衛ですか。」
「イリシアも納得するな!」
そんなコントが始まった、丁度その時。
「大変! みんな!」
という希里花さんの呼び掛けにより。
「なんだ?」
「なんなの?希里花お姉ちゃん。」
「なになに? ゲヘッ! ゲヘヘヘヘッ!」
「グリちゃんが、林を抜けたら灰になっちゃった!」
「……は!?」
僕たちのその日の予定は、狂ってしまったのだった。
2
「……そっか。吸血鬼は日に当たると死んじまうんだった。」
わ、忘れてた。なんでこの世界に限って……。
「うう……グリちゃん……。……ど、どうしたら……。」
「と、とりあえずミールさんのとこに戻ろう!」
「はあ。あれ程傘を差せって言ったのに、グリったら……。」
ミールさんは頬杖を付きながら、溜め息を吐いた。
「……へ。」
「まあ、仕方ないわ。それで魔王様。さっきレッドダイヤモンドストーンあげたわよね。」
ミールさんは希里花さんにそう言った。
「え……あ、はい。」
「魔王さま、回復魔法とか持ってないかしら?」
いやいや。持ってるかな?
「も、持ってますが、どうしたんですか?」
持ってたんかい。
「いや、レッドダイヤモンドストーンを使ってグレードアップさせれば、生き返らせることも可能じゃない。」
なるほど。そういう事……って、それどんな技かにもよるぞ。
……
『リロード』。
希里花さんが言うには、失ったダメージを取り戻すための魔法……らしい。
しかし、今まで死亡した人に使ったが、生き返る等といったことは一度も起こらなかったという。
だが今回は……たぶん違う。
この石……レッドダイヤモンドストーンがあるからだ。
生き返る……という実証はない。
しかしこのままではグリが死亡した状態のままになってしまう。
そしてこの石を使うと、使用制限回数が減る。
……失敗は出来ない。
ちなみに希里花さんは現在、魔人状態だらしく、石は使えるが、採ることは不可。
あとミールさんも、「石を採るのは魔力消耗激しいし捜索がめんどくさいからもうしない」だそうだ。
希里花さんは一か八かと言った表情で、石を握り、その腕をグリに向ける。
そして。
「リロード!!!!!」
その瞬間、辺りに淡い光が立ち込めた。
シュー。と音を立て、辺りの光が避けるようにして消えていく。
やっぱり無謀か?
僕たちは一瞬そう思った。
しかし――……
「ん……あれ? ここどこ? 家?」
グリは、見事に生き返ったのだった。
会ってから本当に間もないのに、その光景をみた僕達の目には、少し涙が浮かんだ。
で、でも、ミールさんは……。
「グ~リ~っ?」
グリに怒りの表情を向けた。
「外に出るときは、必ず傘を差しなさいって言ったでしょ~っ!」
「ごめんなさい! ごめんなさいっ!」
その会話のせいでか、場の雰囲気はぶち壊しだった。
____________________________________________________________
というわけで10話終了です!
遅れてしまって申し訳ありません!
でもその分今回の話は出来るだけ長くしておきましたので、どうかご了承を~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます