第2部 第11話「吸血鬼の食事」
1
ま、そんな感じでまた一人を加えて旅を再開した翌日の朝、いつもの宿にて。
朝。
小鳥たちがさえずり、「朝が来たよ」とでも言っているかのように、僕の頭を、軽くつついた。
そして、僕は目を覚ました。
「うーん。」
なぜか、身体がいつもより重く、なかなか起こすことが出来ない。
「ん……?」
僕はあることに気付いた。
左半身あたりが布団の上からでも良く分かるように膨らんでいるのだ。
特に肩辺りなんかは、一目で分かるような位、膨れ上がっていた。
僕は、何かの病気ではないかと不安になり、布団をめくり、そこを確かめた。
しかし、そこにあったのは。
「~~~~~っ!」
思わず言葉にならない悲鳴をあげる。
そこに、口から血を流し倒れている、グリの姿があったからだ。
「おい! おい! 大丈夫か!? おい!」
「ん~? もう朝?」
「いや、『もう朝?』とかいってる場合じゃねえよ! おま、口から血が……。」
「ん? 血? ……あっ、そうだった。ごちそうさま!」
グリは笑顔でそう言う。
「は? ごちそうさま? 一体何を―――――…………」
考えてる暇もなく僕は倒れた。
もちろんまだ意識はある。
……と、そこで扉が開いて。
「加賀谷くん、大丈夫!?」
駆けつけてくる希里花さんが僕を心配するその声と共に、僕の視界は完全にブラックアウトした。
2
「Ultimative Wiedergeburt《ウルティメーティヴ・ウィダーグバート》。」
希里花さんによる詠唱により、僕は目覚めた。
「ああ。よかった。ちゃんと生き返った。」
どうやら僕は死んでしまっていたらしい。
「どこか痛いとことか、ない?」
「ああ。大丈夫だ。」
もちろん、あくまでなくなったHP(この場合は血液?)を戻しただけなので、傷痕……というよりは、血を吸われた跡は、まだ残っている。
だが、痛い……などということはなく、これ以上HPが無くなりそうな気配は感じない。
僕はふと辺りを見回す。
「……ところで、グリは?」
僕は、希里花さんにそう質問した。
「グリちゃん? ああ。それなら、私に見つかって、『ごっ、ごめんなさーいっ!』って言って、口から血を垂らして、部屋から出ていったけど。」
希里花さんはそう答える。
「そ、そうか……。……って、それ、危なくないか!?」
「え?」
「口から血垂らしてるんだろ? 怪我してるんだったらまだ分かるが、あいつ怪我してないんだ。……傷が無い。……“吸血鬼”だってことが分かりゃ、あいつ、捕まっちまう!」
「た、確かに……。探しに行かなきゃ!」
そんなこんなで、僕たちは走りだした。
ああもう、全くあの
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