第2部 第5話「鬼族の娘」
1
「魔王さまの……味方です。」
……彼女は軽く微笑んでそう言った。
「……へ?」
漏れでる呆けた声。
「まあ、とりあえずこっちに来てください。」
彼女はそう言って手を振った。
「は、はあ……。」
そして。
「あ、その前に。」
と言うと、彼女は崖の方に、手を向けて……
「
魔法を放った。
「うわあああああ!」
崖が崩れ、その上にいた勇者たちが落ちていく。
……あいつらはもう、死亡確定だな。
それにしても……
「……すげえ。」
2
とある屋敷のとある一室。
「……で、魔王さま。そちらの男性の方は?」
「ふ、ふぇ? あ、加賀谷くんよ。私の……、友達。」
「……。」
彼女は無言で、僕の体をまじまじと見つめてきた。
「な、なんだっ?ジロジロ見られると……、あの……、その……、恥ずかしいんだが……。」
一通り見終わったのか、彼女は僕の目を見ながら、話す。
「……目は茶色。髪も同様茶色。どこの国の出身の方で?」
日本……つっても分からないだろうなあ。
多分この世界に無い国名だもん。
でも、それしか答えられる国名無いし……。
もう、日本でいっか。
「日本……です。」
「……日本? 現魔王さまが、元魔王さまに言った国名と同じですね。族種は?」
族種!?うっわこれ「人類です」とか答えたら即刻殺されるパターンの奴じゃん。仕方ない。あれで行くか。
「……魔ぞk」
「人類よ。」
「へ!? 希里花さん!?」
「紛れもなく、ただの人類ですよ。角が生えてない魔族や鬼族が、いるわけ無いじゃないですか。」
「……そうですか。」
彼女の目線は再び僕に切り替わり、殺気が感じられる視線になった。
「あ、でも、一応私たちの仲間だから、殺すとかはナシよ。」
……一応ってなんだ?
「はい。分かりました。それでは次にいきますが、そこの幼女は誰ですか。」
彼女はイリシアを指さし、言った。
「……あ。イリシア・ルーク・ソデルアです。5才です。よろしくお願いします。それと、呼ぶときはイリシアと略称していただいて、構いません。」
イリシアは幼女らしくもない、ハッキリとした口調でそう言った。
「……そうですか。……それでは、こちらの方は?」
最後に彼女は、結衣奈を指さし言った。
「グフッ。グフフッ。グフフフフッ!」
はたから見れば、完全な不審者だ。
しかし彼女はどうやら、違う物を感じたらしい。
「すごく、親近感が湧くのですが、この方は魔族か鬼族か何かですか?」
「……いいえ。違うわ。彼女も加賀谷くんと同じ、日本の人類よ。」
「……そうですか。」
「グフッ! グフフフフフッ! グフッ! グフフフッ! グフフフフッ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます