第2部 第6話「鬼族の種類」

1


「グフッ! グフフッ! グフフフフッ!」

気持ち悪い位の高くうるさい笑い声。

「……そ、そういえば名前を聞いてなかったわね。教えてくれない?」

そんな中、希里花さんは、鬼族の彼女にそう聞いた。

「あ、ミールと言います。ミーちゃんとでも呼んで下さい。」

ミ、ミーちゃん……。

何だろう。なんか思い出すな。

「鬼族って割に可愛い名前ね。……でもそのミーちゃんと呼ぶのは止めておくわ。違うミーちゃんを思い出しちゃうから。」

「そうですか。」

おそらく、希里花さんも僕と同じように某人気漫画の猫のミーちゃんの事を思い浮かべてしまったのだろう。

そんな事を思いながらも、僕は二人の会話を聞き続けた。

「あ、そういえば魔王さま、まだ鬼族について何も教わってませんよね。」

ミールがそう聞くと、希里花さんはポカンとした顔で、「……え?」と呟いた。

「まず、鬼族にもいろいろと種類があるのをご存知ですか?」

「え? そうだったの?」

希里花さんがそう答えると、ミールは少しだけ口元を緩めて言った。

「やっぱりご存知なかったのですね! それじゃあ、教えさせて頂いてよろしいですか?」

その表情は実に楽しげで、見ているこっちも気分が良い程……。

いけないいけない。

僕には希里花さんという永遠の天使がいるんだから!

「……ええ。」

希里花さんはそう答えた。


2


「まず! 鬼族の代表格、鬼! 彼らは強靭な肉体を持っていて、大規模な戦いの時に便利です。」

「へーえ。」

と、希里花さんがうなずく。

「次に鬼の亜種! キメラデーモン! 彼らは強靭な肉体を持っているにもかかわらず、なんとどんなに小さな動物にもなることが可能なんです! イタズラや、小規模な戦いの時に便利です!」

「そうなのね!」

「そして最後に吸血鬼! これは世界的に有名ですね。人の血を吸います。いろいろと弱点はありますが、一対一の戦いに便利……なのですが、近年は男児の出生率が少なく、男児が女児の出生率の約3分の1となっていて……、だれか助けて!」

「……それで、あなたの種類は何なの?」

希里花さんは、ミールにそう聞いた。

「吸血鬼です!」

ミールは、元気にそう答える。

「ふーん。」

……あっ、そうだ! あれを聞いとかなきゃ!

「……あ、あの。」

「ん? 何ですか? 加賀谷様……でしたっけ?」

「はい。……今晩、僕たちこの家に泊めさせてもらっていいでしょうか。」

ミールは「うーん。」と難しい顔をして、

「ええ。どうぞお構い無く。」

そう答えた。

「よっしゃー!」

そして、気分が上がった僕は、

「……まあ、何が出ても知りませんけど。」

その言葉を聞き逃してしまったのだった。

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