第2部 第4話「崖から始める?」
前回のあらすじ
全力で逃走することにしたパーティー一行。
しかし森とは逆の方向に走ってしまっていて……!?
1
「はっ!? 逆!?」
僕は驚いて叫んだ。
「うん。しかもこの先は……。」
「先は……?」
「崖よーーーっ!」
え……? いまこいつなんつった。崖っていう単語が聞こえた気がするんだが。……まさか。
「は!? ……って、うわああああああああああ!」
やっぱり僕が地面だと思っていた場所は、すでに何もなかった。
地面がない。それすなわち。
「キャアアアアアアアアァァァァァァ!」
落ちる!
「ちょ、おまっ、どうしてくれんだ! このままじゃ死ぬぞ!」
僕はパニック状態の中、結衣奈にそう言った。
「だってだって! あんたが悪いんじゃない! あんたがこっちに突っ走ってなきゃ、こんなことにはなんなかったのに!」
結衣奈は僕に、怒り口調でそう返した。
「はあ!? 結局僕のせいなの!? 分かったよ僕が悪かったよすみませんでした!」
僕もそれに対し、怒り口調でそう言った。
「二人とも! 下! 下! 下!」
僕らの喧嘩を遮り、希里花さんが言った。
「へ……? ってギャアアアア!地面がもうこんなに!」
この時、もう地面まであと十何メートルかってところ。
あーあ。もうこれでゲームオーバーか。
これまでの2ヶ月間、楽しかったな。
じゃあ、さようなら。
――走馬灯みたいなのが見える。
本当に死ぬんだな。僕たち。
さようなら。みんな。
さようなら。異世界。
さようなら。希里花さん。
来世はいじめられなきゃいいね。
それじゃあ本当に、さようなら。
地面まであと2、3メートル。
そして。
その日、僕たちは、死――
「……!?」
「ふう。危なかった。」
――ななかった。
翼が生えた女性(?)が、全員をキャッチしたのだ。
そして地上に降りた。
もっと驚いたのはその時にその人が言った言葉だ。
「全く。いきなり上から落ちて来るなんて……。家が壊れちゃうじゃないですか。魔王さま。」
「……!?」
2
「ま、ままっ、まままっ、まお、魔王って、な、何を勘違いしてるの!? わ、私はただのLv.27のクラス16の大魔法使いよ!?」
希里花さんが慌てて嘘を吐く。
その言葉に対してその人は、
「フフッ。大丈夫ですよ。そんなに必死になって隠さなくても。だって、私……、鬼族ですから。」
と言った。
鬼族? 頭大丈夫かこの人。
鬼っていえば、もっとこう、赤くて……、角が生えてて……。
「へ……!? 鬼!?」
「魔王さまの……、味方です。」
彼女は、軽く微笑んでそう言った。
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