第1部 第5話「初回クエストは大騒ぎ・前編」(改稿済)

 前回。

 クエスト道中、なんやかんやで幼女をパーティーに入れました。


 1


「さあ、もう少しだぞ。」

 その時、勇一と希里花、そして先ほど仲間に加わった幼女ロリは、クエストで指定された場所にいた。

(……そういえば彼奴ロリの名前聞いてなかったな。)

 そう思い、勇一は幼女に名前を聞くことにした。

「おい。幼女。」

 勇一がそんなふうに幼女を呼ぶと

「はいっ!」

 と、小学生らしい元気な声で返事をした。

「そういえば、お前の名前、聞いてなかったよな。なんて名前だ?流石に戦闘中に『幼女』と呼ぶのもなんだしな。教えてくれ。」

 勇一はそう聞いた。

「あ、はい。イリシア……。イリシア・ルーク・ソルデアと言います。」

 幼女は勇一の質問にそう答えた。

 勇一は少し考え、もう一度口を開く。

「そうか。……じゃあイリシア。今日のクエスト……、ガルディア討没は……。」

 するとイリシアは驚いた顔で口を開く。

「ガルディア!? 今ガルディアって言いました!?」

「あ、ああ。確かにそう言ったが。」

「ガルディアって、中級モンスターですよ! こんなパーティーじゃ、すぐに死んでしまいます!」

「え?なんで?」

「お兄ちゃんレベル1の剣士でしょ!? で、お姉ちゃんは――多分その格好から見て、あとステータスから見て、レベル16の魔法使いでしょ!? 」

 イリシアはステータスをチラチラと見つつ、勇一達に指摘する。

「いやいや、僕はレベル1だけど双剣士クラス24だぞ。」

 勇一は返答する、続けて、も。

「私もレベルは14だけど大魔法使いクラス16よ。」

「ぴゃっ!? え!? ええっ!?ど、どういうこと!? 双剣士や大魔法使いは、レベル97以上の職業ポイント分からしかなれないはずなのに!」

 慌てふためくイリシア。

 そんなイリシアに、希里花が諭すように声をかける。

「……まあ、イリシアちゃん。あなたは、そこら辺の雑魚モンスターでも倒して、レベルアップすればいいわよ。」

「はい。」

 あっけらかんとした表情で答えるイリシアに、希里花は続けて話す。

「ま、私達の戦闘を邪魔する生き物を倒してくれればOKよ。ただし、人間は駄目よ。人間は…そうね……悪い人だったら、生殺しか半殺し程度にしといて頂戴。」

「希里花さん!? 今なんて言いました!?」

 素っ頓狂な声を上げる勇一の横で、イリシアは頷く。

「分かりました。」

 その返事はかなり軽かった。



 2


 なんやかんやで、今回のクエストの場所に着いた。


「よし。着いたぞ。」

 目的地はこの大きな城。

「それにしても大きいわね!」

「おっきーですっ!」

 二人は城を見上げて言った。

「つーかここって何なんだ? ガルディアってのもどこにいる?」

 という勇一の質問に、希里花は答えた。

「あ、ここはね、この王国の中心で、この城に住んでる国王がこの国を治めているの。でもなぜか最近、ここの地下にモンスターが湧いてるらしいの。でも、どうしても地下に行けない事情があって、それが――」

「ガルディアってわけだな。」

「ですね。」

 と、希里花が言い切る直前に勇一とイリシアが彼女の声を遮る。

「ちょっ二人とも! なんで言うのよ! 私が言いたかったのに!」

 少し知識自慢をしたかったのか、遮られた彼女は半分怒りながら言う。

「ははっ。ごめん、ごめん。」

「ごめんなさいです。」

「ま、それでね。いつも入り口でやられちゃうらしいの。……ほんっとこの国はバカよね! なんでレベル1の剣士しか雇わないのかしら。」

 と、希里花のその言葉に対して、イリシアが言った。

「経費削減のため……、らしいですよ。」

「……なんであんたが知ってるのよ。」

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