第5話A「妹とガキ大将の弟子」(11話)

 1


「キーンコーンカーンコーン」

 下校のチャイムが鳴り、いつもだったら沙耶香が帰る時間。

 俺と沙耶香は、決闘を申し込んで来た奴を待っていた。

 約束した時間から30分も過ぎ、俺と沙耶香は、炎天下の中、ただひたすら待ち続けていた。

「まだ来ねえのかよ! あいつやっぱバカだわ!」

「仕方ないよ。勵渡れいとくん、あれでも学級委員なんだから。」

「じゃあなんでこうなること分かってこの時間にしたんだアイツ!」

「バカだからだよ!」


 2


「あーもう。イライラする。まじでいつくるんだ彼奴バカ。」

 と文句を言っていると、そこに、一人の少女(?)がやって来た。

「すまん。遅れた。」

 は?何言ってんのこいつ。誰?

「あ、勵渡れいとくん! 今ごろ!?」

「はっ!?」

 んなわけない。だって、こいつ明らかに女子だもん。

 俺が見たのは男子で……ってそういえば今の声!

 すると沙耶香が小さな声でこう言ってきた。

「あ、そういえばさっきはお兄ちゃん、気付いてなかったみたいだけど、この娘、ただボーイッシュなだけだから。ついでに言うと、声も少しトーン低いよ。その男らしい特徴から、女子たちから勵渡って呼ばれてるの。ちなみにこの娘、柔道部、空手部、剣道部……等々、闘うスポーツ系の部活、ついでに陸上部、掛け持ちしてるよ。」

「はあああああああ!?」

ウソオオオオオオオオォォォォォォ!?

 ……ってな感じで、俺は女子と喧嘩する事になった。(犯罪行為)


 3


「……じゃあ、行きますよ……。」

「ああ。」

「3.2.1.Go!」

 カウントが終わると、勵渡は真っ先に走り出した。

 俺がいる場所から20m。

 陸上部ということもあってか、たった1秒で俺から2mの位置まで来て、俺に殴り掛かって来た。

 しかしそれはギリギリでかわした。

 続けてターン……からのキック!

 俺はその足を掴み、投げる。

「あがっ!」

 顔を蹴られた。

 鼻血がだらだら出てきた。

「ちょっ!?粘膜弱っ!!鼻血出てるよ!」

勵渡が何故か心配してきた。

「うっせえ!」

 そう言って俺は鼻の上の方を手で抑える。

 俺は勵渡の脚を蹴った。

 そして何故か足がズレた先にあったバナナの皮で勵渡がすってんころりん。

「アギャーッ!」

 俺の足に、潰されるような(っていうか潰されてる)激痛が走った。

「ゴハッ!」

 勵渡が背中を強打したからか、少し血を吐いた。


 4


「勝負は、あなたの勝ちです。」

「これで本当に信用してくれるんだよな。」

「はい。沙耶香さんのお兄さん。……ところで貴方に、やって欲しいことがあります。」

 そう言って勵渡レズバカは、俺の手を掴んできた。

「沙耶香様のお兄さん……いえ、青山雷舞さん。あなたに、倒して欲しい生き物がいます。」

 ……は?


 To be continued……

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