第4話A「妹とギャル」(9話)

 1


 という訳で学校だ!

「ねえねえ。あの人、イケメンじゃない?」

「確かに。ちょっと舞花、声掛けてきてよ。」

「あ、うん。」

 えーと、沙耶香は…… ←聞いていない

「おーい、そこの君!」

「……?」

 誰を呼んでいるのだろうか。

「おーい!そこの髪下ろしてる男子!」

 俺っぽい。

「……?なんですか?」

「ちょっとこっち来てよ。」

 逆ナンか。

「嫌です。」

 当然、俺はキッパリと断った。

「えー。なーんーでー?」

 そう言いながらそいつは小首を傾げるが、そんなの俺には何の魅力も感じられない。

「妹を―護らないといけないので。」

「えー。シスコン?うわっ、こいつめっちゃキモかったんですけどぉー。てゆーかー妹って誰よ。」

「沙耶香です。」

 俺がそう言うと、そいつは驚いた顔で、

「え!? さやーの兄貴ぃ!?、マジ!? ゲットすれば玉の輿じゃ~んっ! しかもさやーが義妹ぎいもーか義姉になるんじゃん! マジ最高ー!」

「……。」

 キモ。

「ってことでー。ちょい校舎裏に来てよ。」

「お断りします。」

 俺はまたキッパリと断った。


 2


 まあ、1日目はこんな感じだったな。

 そんで2日目。ここからが二重の意味での、悪夢の本当の始まりだったんだ。


「あ、来た来た!」

 なんだ、こいつら。

「ヤッバ!ちょーイケメンなんですけど!」

「ちょい、舞花!あのイケメンと仲良くなったんだって!?」

「うん。そうだよ。」

「すっごーい!」

 おい。嘘言うな。俺はお前みたいなスーパーウルトラファッ○ン女と仲良くなった覚えはないぞ。

「センパイ!」

 やだ!

「ちゅーして!」

 やだ!

「こっち見て!」

 やだあぁーっ!

「キャアアーッ!」

 そう。いわばハーレムだ。

 俺はこんなこと望んじゃいない。

 ……はあ。こいつらが沙耶香だったら良かったのに。

 キモいし、化粧臭いし。

 あ!沙耶香だ!

「おーい!沙耶香!助けてェー!」

「うわっ!?お兄ちゃんどうしたの!?」

「いいから助けてくれぇーっ!」

 俺はその日、初めて義妹沙耶香に助けを求めたのだった。


 3


「そっか。ウチの学校の女子、イケメンに目がないから。」

「ううう。怖い、こわひ、こはい。」

 俺は先程の恐怖に身悶えながら、沙耶香と一緒に。とある教室にいた。

「とんだハーレム地獄だったね。」

「うううう!沙耶香あぁー!」

 俺が沙耶香に泣き付こうとした。その瞬間。

「お前か!」

「うわっ!?」

「俺(たち)の彼女をたぶらかしたクソ男ってのはーって、沙耶香様!?」

 そいつ(ら)は沙耶香を見て、立ち止まる。

「そうか。お前、沙耶香様まで自分の物にしようと……!」

「違うわ!俺は沙耶香の義兄なんだよ!」

「証拠はあるか!?」

「ない。なんせ[義]兄だからな。沙耶香が唯一の証拠だ。」

「なら、俺と戦え。」

「は?」

「俺と戦って、勝ったら沙耶香の兄だと認めてやる。」

「勝たなかったら?」

「お前を奴隷にしてやる。」

「人権差別だぞ。」

「うるせえ!とにかく後で校舎裏に来い!」

「はいはい。」

 そう。これが二つ目の悪夢への、大きな鍵へ繋がったのだ。


 To be continued……

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