第2話A「妹と脱出」(5話)

 1


「でも…逃げるっていってもどうするんだ?」

「それはね……。」

 さやかは自慢気にってスマホを取りだし、梨々香と書かれたやつに電話をかけた。

「ちょっと待ってて。」

 ……待つこと3コール。

「あっ。もしもし?梨々香ちゃん?」

「あ、沙耶香ちゃん!今日学校来てないけどどうしたの?」

「あー、ちょっと日光湿疹になっちゃってさぁ。外に出るに出れないんだよぉ~……。」

「え!?そうなの!?先生に伝えとくわー。」

「本当ごめんね~。よろ~。」

「ピッ。」

 電話を切った。

「はい。おしまい。」

 え、今ので出れんの?

 っていうか沙耶香がギャル口調で話してんの初めて見た。

「これであと20分位経てば授業終わるから。待ってて。」


 2


 約20分後。

「ピーンポーン」

「ごめんくださーい。青山さーん。青山沙耶香さんはいますか?」

「はーい。」

「ちょ、沙耶香。誰かをちゃんと確認しないと。」

「大丈夫だよ。お兄ちゃん。この声は、先生だから。」

 そう言って沙耶香は扉を開けた。

「沙耶香さん。大丈夫ですか?」

 そう言って先生は、沙耶香に抱き付いた。

「あ、はい。大丈夫です。あと暑苦しいです。」

「暑苦しい!?それは大変だ!病院に連れて行かないと!」

「あー。先生。」

「なんだね!誰だね君!?」

「あ、俺は沙耶香の兄です。……えっと、沙耶香が苦しいのは……先生が抱きついてるからだと思います。」

「おお、こりゃすまん。」

 先生が沙耶香を離した。

「ふう……ふう……」

「ところで、日光湿疹と言っていたね!大丈夫かい!?」

「学校には行きたいんですが、どうも陽の光が……。」

「なら沙耶香さんのお兄さんが付いていけばいい。そうして影を作れば……、な?」

「は!?えええええ!?」

 沙耶香が肩を叩いて来た。

「ほらね。上手く行ったでしょ?」

 そして沙耶香は優しく微笑んだ。


 To be continued…

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