第1話B「妹と病院」(4話)
1
その後。
俺は、妹の安全を確保するため、近くの病院で亜理沙の手術をしてもらっていた。
手術室から医者が出てきた。
「あの、先生。妹……亜理沙は!?」
「大丈夫。ちゃんと手術は成功したよ。」
医者は、優しく微笑みながらそういう。
「そうですか。」
俺はホッと息をついて、安心する。
「それと……、足の血管が少し切れていたから、人工血管を移植しておいたよ。」
……そっか。切れてたのか。血管。
「……そうですか。ありがとうございます。」
続けて医者はこう言った。
「ただ、血液がかなり、少なくなってしまっていてね。今はただの撃たれたショックによる気絶だけど、血液がかなり少なくなっているから、貧血による気絶……一過性意識消失発作を発症する事が多いだろうね。」
なんだ。その病気。
「その……、なんとか意識発作って何ですか?」
俺はそう聞いた。
すると医者から答えが返ってくる。
「一過性意識消失発作。いわゆる失神だね。あと、退院後もあんまり動かさない方がいい。それと、退院後はなるべく血液を形成できるような栄養分……肉とかを食べさせたほうがいいよ。」
「あ、はい。分かりました。体をあまり動かせさせない……それと、肉を食べさせる……ですね。」
俺は勉強用のメモ帳にそれを書き込んだ。
「なにも、無理矢理食べさせるのは駄目だよ。女の子は、太ることに嫌悪感を感じ易いからね。」
「あ、はい。分かりました。『無理矢理食べさせるのは駄目。』……っと。」
2
「そうだ。妹と面会させて頂けないでしょうか。」
「うーん、今は少し難しいだろうね。ウイルスなどが傷口に入り込んだら大変だしね……。」
するとひとりの小さな女の子が走ってきた。
「ねえねえ、せんせ。あーそーぼ。」
その子は医者の袖を引っ張りながら言った。
「今はダメだよ。仕事中だし、今はこのお兄さんとお話ししてるからね。」
するとその子は、俺に目を向けてきて、こう言う。
「おにーさん。誰?」
「はいはい。良いから。あっちで遊んでて。お友だちが待ってるよ。」
「はあい。」
その子は、「ぷれいるーむ」と書かれた部屋に入っていった。
「……ごめんね。あの子、私の娘なんだ。」
「え、先生の娘さん?小1位に見えましたけど、もしかしてあの子も……」
「ああ。そう。病気だよ。」
「頑張って直さなきゃいけませんね。」
「ああ。そうだね。」
医者は悲しそうな顔で笑った。
To be continued……
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