プロローグB「妹、亜理沙」(2話)

 1


 ある日。

 高校3年生の俺、切口きりくち雷舞らいぶは、寝坊して(と言っても10分位だが。)

 妹、亜理沙よりも遅く、学校へ行くこととなった。

 学校の周辺まで行くと、校門あたりに、なにやら人だかりが出来ていた。

 俺は野次馬のようにその中心にあるものを見ようと、少しずつ周りの人々をどかし、それを見た。

 しかし、それは、足から血が流れてしまっている。

 妹……亜理沙ありさの姿であった。


 2


「亜理沙っ!」

 俺は亜理沙に駆け寄り、安否を確かめた。

「よし。ちゃんと心臓も動いてるし、息もしている。」

 後ろから一人の少女が駆け寄ってきた。

「あの……、雷舞さん……。」

「麻衣!」

 亜理沙の小学校からの大親友、麻衣まいだ。

 麻衣は前に家に来たとき、(とは言っても2、3年前だが)何度か話したことはあるので覚えていた。

「確か朝、亜理沙と一緒に登校してたよな。」

「あ、はい。その、亜理沙ちゃんのことでちょっと話が……。実は亜理沙ちゃん……」

「いや。……もう見たよ。」

「……そうですか。」

「……」

「……」

「つーか。なんでこんなことになったんだ ?」

「いや、えっと、それがですね……。」


 3


「まず私は、亜理沙ちゃんと登校するため、雷舞さんの家に行きましたよね。」

「ん。そうだな。」

「そのあと…

『ねえねえ。今日もお兄さん何か変なことしてた?』」


グサッ。

心に何かが刺さる。


そして麻衣は再び口を開く。

「『うんうん。なんか変な踊り踊ってた。しかもめっちゃ動きキモかったし。』」


グサッ!


「『本当に亜理沙ちゃんのお兄さんって面白いよね。』

『いやいや。ただ狂ってるだけっssy…」


また心に傷がつくまえに、急いで俺は麻衣に言った。

「おい。」

「はい。」

麻衣が顔を上げた。

「そこの話要らねーだろ。重要なことだけを話せ。」

「はい。分かりました。

 まあ、登校中にそういった話をしていたんです。

 でも、学校前の横断歩道に差し掛かった時……

『バンッ!』

 って言う音がしたんです。」


 To be continued……

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