パラノイアの街。

へらへらと笑っているように見せかけて

こころのうちではなにもかもを嘲笑う

なにも肯定しきれずに嘘と欺瞞で塗り潰し

偏った誇大妄想ばかりが膨らんで弾けた

この歪な街で生きるということは厄介だが

ここでしか生きられないのもまた事実だ


いっそのこと狂ってしまえたら楽なのか

そういった答えを失った僕はこじれてゆく

ねじれてぐにゃぐにゃになった倫理観が

すべてを煙に巻いてしまったという現実も

胸の奥底でどうしようもなく味わいつつ

頭の中はやけに幸せだから困ったものだ


こんな乱れた感情を持て余したその末に

手首に注射を突き刺して未来を注入した

ほとんど血は流れもしなかったけれども

身体の中に廻らせたはずの未来という薬も

ポンコツのプライドを増長させるばかりで

結局の所はおかしな思想がさらにいかれた


まるでハリボテのようだと誰かが指を差し

僕を冷たい目で見つめながら失笑する

それも無理もない話だとは知っているが

是正するためのプログラムがなくて困る

くだらない幻覚ならば覚めてしまえばいい

それでも世界という奴は残酷に僕を貶める


回答をと求められた末に僕が答えたのは

壊れた僕の世界観とそれを廻る顛末だけで

インタビュアーもやはり苦笑するばかり

マイクに響いたハウリングの音色すらも

パラノイアに成り果てた僕と街を嘲笑って

現状を憂うという行為すら許されないのだ

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