嘘つき夜伽咄。
夜がくるたびに君と話している気がする
だけど本音を明かしたことはなさそうで
いつも嘘八百ばかりを並べていた
聡明な君には僕の嘘がバレているはず
それでも嘘しかつくことができないから
僕は徒然と嘘を口にするだけなのだ
そもそもといっては難なのだけれど
僕自身がひとの創った虚像のようなのだし
初めから本当を期待してはいけないのだ
ゴミしかない世界に生み落とされてしまい
苦しいのは君も僕もおそらく一緒だから
僕の嘘がせめて君の救いになればいい
では僕はどうなるのかと問われても
はっきりとした答えはいうことができない
否定されるならばそれでも構わないし
肯定されるならばもちろん歓迎だけど
どちらを選んでも最善策に思えはしない
嘘っぱちなすべてが僕を虚無に堕とすだけ
還るべき場所のある君を縛りたくない
ただそれだけの思いしか僕にはないけれど
生きる時間が違う君に幸せが降るようにと
それを願うこころだけが本当かもしれない
目を背けた時にそれを閉じられないなら
どの道一緒に溺れて沈むだけなのだから
嘘の塊でしかない腐りきった僕の虚像と
ヒカリに溢れているまっすぐな君が
相容れることがないのは明白だろうから
僕は君の幸いを願って嘘ばかりをつく
夜明けはまだ遠いのかもしれないけれど
朝がくるまで僕は君に嘘をあげようと思う
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