記憶の偏差値。
思い出だけは嘘を絶対につかないと
勝手な固定観念に囚われた愚かな僕は
いくつもの過去を反芻して噛み砕き
泥水と一緒に飲み干して潤している
そんなことをしても余計に渇くのに
嘘の見えない昔は僕を嘲笑した
虚ろな表情の誰かとシンパシーを感じ
自己基準で夢を採点してみた結果
最終的につけられた点数はたった九点で
まあこんなものかと妙に納得した
それほど僕のこれまでは腐っていたから
それ以上にならないことは知っていた
思想に点数をつけるという行為が
どれほどに愚かで間抜けか気づいただけ
少しは進歩したのかもしれないけれど
ほとんど以前と変わらないままで
ありえない偏差値を弾きだすことを
期待していないといえば嘘になるのだ
この時点でもうお気づきだろうと思うが
結局はなにもかもが嘘ばかりで
僕に本当なんてものは一切存在しない
空っぽの器の僕を笑えばいいのだろう
何者にもなれないでふらふらしている
穀潰しのロクデナシがいまの僕だから
ちぎれた記憶を辿っていったとしても
還れる場所は思い描いた場所ではなくて
なにかが少しだけ違っているのだろう
妄想だらけのいまに埋没し耽溺して
いかれきった偏差値を空に翳しては
きょうも僕は僕自身のすべてを嘲笑う
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