アルビノ

 私はほとほと困り果ててしまい、何もかもを放り出して窓ガラスをすり抜け全速力で泳ぎだした。

 鼻の頭で水の香りと重みを感じる。

 夜の気配はやはり私のことを拒絶しているようで、なじめそうもなかった。


 ゆらゆら動く私の白い体。

 小さな鱗が皮下に埋もれて全身を覆っている。

 背びれと尾びれと尻びれがひとつながりになってひらひらと潔く流れた。

 私は真っ白なウツボで、どうしようもなくなにもかもを放り出し、ひたすらに泳ぎ続ける。水の香りをかき散らして、夜の気配の中を何処までも。


 

 曇った夜空も、

    寝静まる街並みも、

           とても

              綺

             麗

               だった。

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