第2話
パーティ当日、普段よりも少し着飾った人々が会場に集まっていた。
「今日は、お料理だけ楽しもう」
受付を済ませた私は、ひっそりと呟き会場に足を踏み入れると先に来ていた同僚や先輩が話しているのが見えた。
「お疲れ様です」
「美里ちゃんお疲れ。あら可愛い格好ね」
「ネットでフルに検索しました。先輩もお綺麗です」
「ありがとう。今日は他部署の人と交流して、あわよくば。を狙ってるからね」
にやりと笑う明先輩は、今年32歳になる独身だ。
美人なのに、明という名前と今まで男運に恵まれなかったせいで、この歳になっても「イイ人」は居ないらしく、今回のパーティで見つける気なのだそう。正直肉食獣の目をしている。
「私は、ご飯目当てですけどね」
そう明るく言ったのは同僚の涼子ちゃん。彼氏とは順調みたいで目線は既に料理の方へと向いていた。
「私もお料理目当てですね、だってこんな高いホテルの料理なんて普段食べれないじゃないですか」
(あと、男性は怖いし)
そんな建前の後にひっそりと心のなかで呟いて、料理に目線を向ける。
目線の先には、美味しそうな料理が並んでいる。
実際、高級ホテルの料理なんて普段食べることが出来ないため、あながち嘘でもない。
女同士でワイワイ喋っていると、スピーカーから司会者の声が聞こえてきた。
「えー、本日は50周年記念パーティにお集まり頂き誠にありがとうございます
本日は、普段勤めていらっしゃる社員の皆様への労いとより一層の発展を願ってのパーティとなります。皆様には、十分楽しんでいって頂けますと幸いでございます。それでは社長、大友博士氏によりますご挨拶になります」
司会から、紹介されると我が社の社長である大友氏が緊張の面持ちでマイクの前で口を開いた。
「来る、11月23日我が社は50周年を迎えることになります。この事実には感慨無量の涙を禁じえません。皆さんもご存知のように、当社は数年前には業績が落ち込んでしまいました。しかし、ここにいる社員全員が一丸となって業務に取り組み、現在のような発展を遂げたわけです。これもひとえに社員一同日々の努力の賜物であると、日々感謝しています。どうか、この50周年を明日への飛躍の場として、全社員が持てる力を結集し当社のますますの発展にご尽力下さいますようお願い致します。皆さんのご協力をお願いし、私の挨拶と致します」
社長のスピーチが終わるとぱちぱちと拍手が湧き上がる。その光景を見た社長は笑みを深くし、乾杯の言葉をグラスを掲げつつ発した。
「乾杯」
そう言って、近くの人達とグラスを鳴らす。このあとは交流の時間だ。
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