色香の恋
七瀬稔
第1話
男の人とは目を合わせることが出来ない。
しかし、こめじるし家族を除く。だ。
生まれてこの方、出会う男性の運が悪いのかトラウマばかり植え付けられている。
幼稚園時代…ちょっとかっこいいと思った男の子に「どっかいけよ!!ブス!!」と言われた。
(その言葉を聞いた私は、泣きじゃくりその男の子は先生から怒られ、中学校まで同じだったがその件以来距離を置くこととなった)
小学校時代…隣の席の男の子が落とした消しゴムを拾おうとしたら「拾うんじゃねぇよ!!」と怒られた。
(その子は、クラスの女子を敵に回してしまったらしく卒業まで女子連盟から目の敵として扱われることとなった)
中学校からは「男」という性別が苦手になってしまっていたため、親に頼み込んで女子校へと進学。
大学は共学だったが、入学時に知り合った友達のゆうちゃんが社交的だったため、彼女に頼りっぱなしだった。しかし、授業のグループ学習時に組んだ男性から「お前、根暗だな」「楽しいって思うことある?」と言われたため、苦手意識は最高潮となってしまった。
そんな私は、立派な喪女へと成長し就職からはや数年。未だ結婚どころか彼氏…いや、異性の友人すら出来る気配がない。
職場は、女性社会の一般事務。他部署の男性と関わることはあるが、そこは私もアラサーの大人だ。それくらいはなんとか出来る。まぁ…挨拶と業務上のやり取りしか出来ないが。雑談なんて言われた日にはおそらく死ねる。
そんな、私にある転機が訪れた。
「50周年記念パーティですか」
「そう、社員を全員集めてやるんだって。しかも結構良い所で」
「…全員参加なんですね」
何でも、会社が創立50周年を迎えるため社員全員を集め、ホテルでパーティを行うという。
「これを機に普段交流の無い人達にも交流してほしいんだって」
「交流ですか…」
ちょっと面倒くさいけど、お料理とか楽しみねー
そんな周りを尻目に私は、どうやって壁の花になればいいかの算段をひっそりと巡らせていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます