第2話

起きると目の前で裸でうろたえている見覚えのある中年男がいた。うろたえようが面白いからそのまま放っておいたが頰までつねり始め可哀想になったので声をかけた。「兼子先生?」というと「はい!」と裏返った声で返してきた。まるでいたずらしたのがバレそうになった子供のようで不覚にもギャップ萌えするところだった。相手は妻帯者の上に私よりふた回り以上上のオヤジだぞと自分に言い聞かせた。まして私は教え子だし。ワンナイトはよくあることだったがいやまさかこのオヤジとすることになるなんて夢にも思わなかった。私は彼氏がきれることなくずーっといる。一年に3人のペースを高1から続けている。今年29だから、、、39人か。最近友達の半分は結婚をしている。私はモテないわけでもないし結婚できないわけでもない。ただ、結婚したいひとがいないだけだ。結婚願望は今の所ない。もっというといままで付き合っていた人の中でプロポーズしてきた人もいたが断ってきた。両親はもう私の結婚は諦めている。ただ、友達や同僚でたまに哀れんでくるやつがいる。そんなとき彼らが私には結婚だけが究極の幸せだと思っている単細胞にしか見えない。私がずれているのだろうか?私が色々考えている間気まずい空気が流れた。私は「すみません。呑みすぎましたね。」と一応謝っておいた。しかし酒に呑まれないタイプの私が酒の弱いオヤジに言うセリフではなかったなと後から思った。すると、「いやいや俺こそすまん。川崎さんは昨日のこと覚えてる?」私は思わずうわ、こいつ覚えてないのかよと突っ込みたくなった。まあ昨日は2人で飲んで相手が酒に呑まれて私をホテルに連れ込んだってだけの話だ。押しには弱いのが私の悪いところかもしれない。覚えていない発言に腹が立ったのでしらばっくれることにした。「いえ、全く。まあ使用済みのコレがあるから生殖行為をしたんでしょうね。」と真顔で使い終わった避妊具を指差して言ってみた。妙な言い回しになったのはあまり生々しい言い方をするのを恥じらった私のあるかないかわからないくらいの乙女心ゆえだ。すると彼は私をジーと見ていきなり吹き出した。不審に思い自分を見ると裸で正座をしていた。さすがに恥ずかしい。「着替えましょう?」と言ったがなぜか「嫌だね」と言われた。私は内心だったらそのまま外に出ろよ!と言いたくなったねを堪えて「断る権限はあなたにはありません」と言った。急に「嫌だね」といわれ不覚にもキュンとしてしまった。2度目はあってはならないので昨晩は事故だと自分に言い聞かせた。

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