決して書き殴ってはいけないよ
「
「毎日最低限の量を書けるようになることは大切。内容的には何を書いてもいい。だけど、だからといって書き
私にはその意味がわからなかったので、こう質問しました。
「書き殴るって、どういうことですか?」
「そうだな。“書き殴る”という行為は、感覚的なものなので説明するのは難しいのだけど。簡単に言えば、適当に手を抜いて書くって感じかな?ひたすら文字数を
「文字数を稼ぐためだけに?」
「そう。毎日最低限の執筆量を書けるようになるのは大切だけど、書き殴っては意味がない。量を書くだけならば誰にでもできるんだ。誰でにでもじゃないけど、10人に1人はできる。ちょっとしたコツさえつかめば簡単にできるようになる」
「そういうものなんですか?」
「そういうものさ。けど、書き殴るクセがついてしまった人は、もうそれで終わり。ほとんどの人は、それ以上の領域に進むことができなくなってしまう。それくらい書き殴るクセを
「なるほど」
「質の高い作品を書いている人が、量も書けるようになるのは簡単。ある日突然変われる。内容を薄めればいいだけだから。でも、逆は無理。クオリティを上げるのは
「ちょっとわかるような気がします。小説でなくても、他のことでもそういうのありますよね」
「そういう人は、いつか必ず壁にぶち当たる時が来る。壁にぶち当たった時に、その壁を越えられなくなる。リル、君にはそうなって欲しくはないんだよ」
「はい」と、私はうなずきました。
「世の中には、いい文章と悪い文章がある。小説も同じ。世の中には、いい小説と悪い小説がある」
「いい小説と悪い小説?その違いは
「いい小説と悪い小説の違い。その定義はいろいろあるけれど、ひとつには『書き殴った小説か?そうでない小説か?』だよ。書き殴った小説は悪い小説で、丁寧に書き進めた小説はいい小説。必ずしもそうとは限らないけれども、それが基本かな」
「じゃあ、丁寧に書けばいいんですね?」と、私。
「まあ、そういうことだね。勢いにまかせてガ~ッと書き進めた方がいい時もあるけど、それも書き殴るというのとは違う。筆が乗っていくらでも書けてしまうのと、書き殴るというのは全然別の行為なんだ」
「難しいですね」
「しばらく続けていれば、その違いは感覚的にわかるようになるさ。とにかく、丁寧に書き進めなさい。特に君はそういうタイプだ。荒っぽいけれども勢いで攻めるタイプではない。もっと慎重に丁寧に書き進めていって、
「私もそう思います。自分でも丁寧に仕事をしている時の方がうまくいっていることが多いと感じます」
「だろうね。きっと、君は大木になれるよ。今はまだ小さな
「私は
「そう。だから、ゆっくりと確実に成長する必要があるんだ。その分、成功は遅いかもしれない。でも、確実に大きく強くなってゆける。世の中には『ただ、たくさん量を書け』と指導してくる人もいるだろうけど、そんな言葉は信じちゃいけないよ。あとから後悔したくなかったら、決して書き殴らないこと。わかったね?」
「はい、わかりました」
「心配しなくても、いずれいくらでも書かなければならない時が来る。その時に
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