第26話 嘘みたいだろ?そいつアホなんだぜ…なのです。
記憶力ダンジョン攻略から数日経った。6月も半ばを過ぎ梅雨入り宣言は出されていないが雨の多い季節となった。
「だまされた…。」
部室のドアを開けるや否やタマがぼそりと呟く。
「どうしたの?タマ君。だまされたって?」
あの一件後しばらく落ち込んでいたフェミちゃんもすっかり立直っていた。
「記憶力が上がったなんて嘘じゃないか!見ろ!このテストの結果を!!」
タマが持つ数学のテストには15点と力強く書かれていた。
「数学の先生の怒りに満ちた字だね。」
「メガネ、怒りに満ちているのは俺の方なのだよ。お前は何点だった?」
「92点。」
「フェミちゃんは?」
「95点。」
「ハンクスは?」
「88点。」
「……なぜ俺だけ…。」
タマはがっくりと膝を落とす。
「おかしいね…。タマ君もクリアしたんだから記憶力は上がってるはずなのに…。」
フェミちゃんが不思議がる。
「そうだよね。僕もテスト範囲いつもよりスルスル頭の中に入ってきたよ。」
メガネも自分の記憶力が上がっている事を実感していた。
「僕も一通りテスト範囲勉強しただけでいつもより良い点数取れたしな…。」
ハンクスも然り。
「ん?みんなテスト勉強したの?」
「……。」
「……。」
「……。」
絶句とはまさにこの事…。
「あのねタマ君、よく聞いてね。記憶力が上がったの。つまり覚えた事を忘れない。もしくは、覚えるのが早くなるって事よ。そもそも覚えてないことが出来るわけないじゃない!!」
アホである。
「……な…なるほど。言われてみればそうだね。いや~お騒がせしました。」
「タマちゃん。今回が小テストで良かったね。前期試験だったら赤点で追試くらうところだったよ。」
そう言えばハンクスも丹澤慶子の一件でタマと口をきかなかったけどいつも通りになってるね。まぁ、結果的に想いを伝えられたわけだし…。密かに失恋してるけど。
「ほんと、大事になる前に気付いて良かった。あ…そういえば今週末のダンジョンってどこ行くの?フェミちゃん先生から聞いてる?」
「聞いてないな~。もう中級ダンジョンも行けるから大分選択肢は増えたわよね。」
部室のドアが開く。噂をすれば丹澤慶子。
「うぉい!!タマ!!あんた凄まじい点取ったらしいわね!!数学の木山先生に私がネチネチ言われちゃったじゃない!!勘弁してよね…。」
お怒りはごもっともだが、イライラを生徒にぶつけるとは教育者としていかがなものか…(何回目だっけ?)。
「先生!!気にしないで下さい!!」
グーで殴られた。
「すいませんでした。」
タマは丹澤慶子に命じられ数学の問題集をやらされている。これで次のテストは大丈夫だね。……何か8割間違ってるけど。
因みに作者は数学は苦手だ。英語も苦手だ。化学も苦手だ。そして物理は嫌いだ。後、地理も好きじゃないし、世界史もめんどくさいし……詰まる所、勉強が嫌いなんだな。しかし、もし読み手の方に中高生がいたのなら聞いて欲しい。嫌いでもやればまあまあの大学には入れるぞ!!嫌いでもやる事は大事だ。どうだ!!説教臭いだろう!!
「先生、次のダンジョンはどこに行くんですか?」
フェミちゃんが目をキラキラさせて聞く。
「そうね…。どこか行きたいダンジョンある?」
「代謝アップのダンジョンに行ってみたいです!!」
フェミちゃん、前も言ったけど君にダイエットはまだ必要ないと思うんだけど…まだ……。
「僕も行ってみたいです。ちょっと興味がありまして…。」
細いメガネが代謝を気にしているとは驚きだ。
「そう。いいわよ。じゃあ、今週末は代謝アップのダンジョンにしましょう。あそこは個人のダンジョンだから500円持ってくるように!!」
こうして今週末のダンジョンが決まった。…けど、次回は全高ダンの説明を丹澤慶子がするぞ。そして………あの2人が再び登場!!……つづく!!
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