第21話 丹澤慶子がまた飲んでいるのです。

 第5ダンジョン部が自主的に酒屋ダンジョンに行っている時、居酒屋『しぐれ』のカウンターに丹澤慶子の姿があった。まだ早い時間のせいか店内には丹澤慶子しかいない。

「オヤジさん、ハイボールおかわり。」

 オヤジと呼ばれた『しぐれ』の店主は30代半ばのなかなかのイケメンだ。30代半ばでオヤジならばアラサーの丹澤慶子はオバサ…

「黙れ。」

 あっごめんなさい。…ナレーションと会話するなよ。

「ん?どうしたの先生?」

 オヤジがハイボールを持ってきた。

「何でもないわ。先生はやめてよ。ここでは先生じゃありません!!」

「そうか。ごめんごめん。もつ煮、昨日の煮詰まったのと今日作ったのどっちにする?」

「昨日ので。」

「はいよ。」

 2杯目のハイボールを半分程一気に飲む。

「ハァ……。」

「溜め息なんて珍しいですね。何かあったの?」

 もつ煮を丹澤慶子に差し出すとオヤジは言った。

「ん?まあね。誰もいないから言うけど、生徒に告白された…っていうかある子が好意を持ってるって事を他の子に教えられたっていうか…。」

「へ~。モテるね慶子ちゃん。この前連れてきた賑やかな子の中の誰かかな?」

「賑やかというかうるさいのは一人だけよ。あの中の一人ね。」

「…で、慶子ちゃん的にはどうなんだい?」

「何が?」

「その好意を持ってる子の事をどう思ってるのかって事だよ。」

「教師と生徒という以前にナイわね。」

 ハンクス残念。

「全く?」

「全く。」

 ハンクス残念。

「可能性は0ではないでしょ?」

「0よ。」

 もう止めてあげて…。

「そうか。その辺ちゃんとしておいた方がいいよ。」

「分かってるわよ。」


「ところで…何でダンジョン部の顧問なんてやる気になったんだ?」

 オヤジが急に真剣な顔付きになる。

「第5ダンジョン部ね。暇だったからよ。」

「本当にそれだけか?」

「それ以外に何があるのよ?」

「九尾ダンジョン。」

「……。あれはもう私には関係ないわ。」

「ダンジョン部の顧問やってれば、いずれたどり着く場所じゃないか?」

「あの子達はそこまで行かないわよ。」

「教え子達の限界を決めるなよ。分からないぞ。吉祥寺ダークナイト。」

「うるさいわね。大宮ランサー。」

 店の引き戸が開きサラリーマンらしき3人の男が入ってきた。

「さぁ、この話はおしまい。オヤジ、今日のオススメは何かしら?」

「ヒラメの良いのが入ってるよ。」

「じゃあ、それちょうだい。後、冷を一つ。」

 海無し県栃木でここ20年で変わった事の一つに新鮮な海の魚が食べられるようになった事が挙げられよう。作者が子供の頃はサンマやイワシなど足の早い魚は刺身で食べられなかった。今では当たり前のように店で出される。それまで生で食べられていた物も格段に美味くなったと作者は思う!!

※個人の意見です。


“九尾ダンジョンか……。忘れてたわ。いや…忘れたふりをしてただけかもしれないわね…。”


 思わせ振りな丹澤慶子。なにやら親密そうな『しぐれ』のオヤジ!!そして、新鮮な海の幸!!

 話を複雑にしてしまって後で収拾がつかなくなる事を恐れつつ……つづく!!!

あ…、ハンクスの失恋が確定したけど……まぁ…あれだ…うん…物語的に問題なし!!!

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